「トワイライト」重松 清著・・・★★★☆
小学校の卒業記念に埋めたタイムカプセルを開封するために、26年ぶりに母校で再会した同級生たち。夢と希望に満ちていたあのころ、未来が未来として輝いていたあの時代―しかし、大人になった彼らにとって、夢はしょせん夢に終わり、厳しい現実が立ちはだかる。人生の黄昏に生きる彼らの幸せへの問いかけとは。
この作家や本書の登場人物たちと私は同世代だ。
振り返ってみると、私達が育った1960~70年代は戦後以降で日本人が一番希望を持てた時代だったんじゃないだろうか。
「夢の超特急」新幹線が開通し、アジア初開催の東京オリンピックで日本選手が大活躍し、大阪万博(私も行った)で日本はめざましい経済成長を世界に誇り、パビリオンに展示された月の石や、数々の科学技術は私達に夢の未来を想像させ希望を抱かせた。
本書は、そんな時代を生きたオジさん、オバさん達の今と未来はどうだろうか?というテーマで、タイムカプセルの開封に集まった同級生たちを「ドラえもん」の登場人物になぞり、彼等の人生模様を描く。
勉強が出来た主人公ののび太(克也)はリストラの危機を迎え、ガキ大将だが優しさがあったジャイアン(徹夫)は、クラスメイトで女子の中心人物だったしずかちゃん(真理子)と結婚するが、職を転々とし酒を飲んでは暴力を振るい家庭崩壊が迫る、転校生だったスネ夫(杉本)は肝炎で入院の日々を送る。。。
私も一昨年、○十年ぶりの中学の同窓会に出席した。
そこでは、色々な人生模様を垣間見た。
夢破れた者、成功した者、音信不通になった者、亡くなった者、既に孫がいる者、先生なのか同級生なのか区別がつかない者、憧れの女子が疲れたオバちゃんになってたり、その逆に目立たなかった女子が若くて綺麗になってたり。。。(´∀`)
私たち世代は、夢と希望に溢れた60~70年代に育ち、バブル時代に青春を謳歌し、バブルが弾け結婚し、日本の衰退と共に家族の時代を過ごした。
私も含めて、彼らの人生は、日本の時代の移り変わりと比例して歩んでいる様な気がした。
私たちが子どもの頃に描いた未来の日本や、理想の暮らしと現実とはだいぶ違っている。
人一人、一つの家族がいつまでも平穏に幸せに過ごすというのは、いつの世も大変なのである。
歳をとるにつれ大変になる様な気がするのは、私だけだろうか。。。(→o←)ゞ
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