「きらきらひかる」江國香織著・・・★★★☆
私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである―。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだが…。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは。
著者の初期の作品。
夫は同性愛者の内科医、妻は情緒不安定のアルコール中毒者という新婚夫婦の奇妙で不安定な生活を描いている。
夫は結婚後も恋人(彼氏)との関係を続け、妻はそれを容認(というか恋人と別れたら私達も分かれると宣言する)しているという何とも理解し難く、常人(親)には許容できない生活を送る。
妻も少し嫌な事があったり思い通りにいかないと、泣いたり喚いたり物を投げたりと非常にデリケートである。
2人の関係、生活は異常でドロッとしているが、章ごとに夫と妻の交互の視点で描いた女性的というか今風のさらっとして透明感のある文章がストーリーと対照的で新鮮さを感じる。
アクの強さに好き嫌いは分かれるでしょうが著者の力量を感じさせる作品でした。
- きらきらひかる (新潮文庫)/江國 香織
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