「スイート リトル ライズ」江國香織著・・・★★★☆
一日のはじまり。この日常に不満はない、と、瑠璃子は思う。淋しさはたぶん人間の抱える根元的なもので、聡のせいではないのだろう。自分一人で対処するべきもので、誰かに―たとえ夫でも―救ってもらえる類のものではないのだろう。でも、と、聡の好きな桃をむきながら瑠璃子は考える。でもそれなら、春夫といるときに淋しくないのは一体どういうわけだろう。あんなにみちたりてしまうのは。
いい年をしたオッサンが読むには失笑を買うような可愛いテディーベアの表装が、本書のストーリーを物語っている。
現代の有閑マダム(例えが古い!)がいかにも好きそうなDINKS&不倫の話である。
以前読んだ「神様のボート」の迫力は全く無いがたまにはこんなのもいいか、と密かにこのストーリーにオッサンは憧れを抱く。
- スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)/江國 香織
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