「溺レる」川上弘美・・・★★★☆
二人で何本も徳利を空にして、ゆらゆらと並んで歩く暗い夜の情景―「さやさや」。ちょっとだめな男とアイヨクにオボレ、どこまでも逃げる旅―「溺レる」。もっと深い仲になりたいのに、ぬらくらとすり抜ける男―「七面鳥が」。恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、傑作短篇集。
初めて読んだ作家。男女の恋愛ストーリーが8篇収められている。
”うなぎを掴む様な”とでも表現していいのか”ニュルッ”とするような掴み所のない独特な叙述で、どちらかといえばちょっと苦手なタイプである。
しかし、女性にしか書けないような叙情溢れる筆致に圧倒される。なかなか力量のある作家だと感じた。
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