「幻の光」宮本輝著・・・★★★☆
愛する人を失った悲しい記憶を胸奥に秘めて、奥能登の板前の後妻として生きる、成熟した女の情念を描く表題作ほか3編を収める。
私が宮本輝を読んだのは25年前にもなる「青が散る」1冊だ。当時は血気盛んな年頃だったから、純文学なぞ読めるか!とも思ったのか、それ以来まったく読んでいない。自分の人生の後先を考えるような年になると、こんな小説が心に沁みる。
作風はシンプルで穏やかな語り口、なんら仕掛けもない。
また一人、自分にあった作家を見つけた。本読みとしてはうれしい限りだ。
- 幻の光 (新潮文庫)/宮本 輝
- ¥380
- Amazon.co.jp