帰って来たら届いていた。[1]
表紙の写真は超有名な1枚。
かに星雲の超新星爆発の写真。
そこに、論文を持って、ぴょーんと跳んでいる男の人の絵が描かれている表紙。
今週のKAL's cartoon。[2]
ユーロ危機を風刺した絵。
メルケル首相(左上の女性)から缶をラケットで打ち始め、ギリシャやイタリアを経由して、グルリと回している様子。
観客は、こうして缶を打ち合っていれば、いずれ何かしらの変化が起きる、と言っている。
この間のEUサミットで、銀行の救済基金に関する合意が成された。
ひとまず、目の前の危機は乗り越えられそう。ただし、当然のごとく根本的な解決ではない。
問題は、爆弾のパス回しをやめて、恒常的に成長できるかどうか。できるかなあ。
今週のLeadersから。
偉大な飛躍(Science’s great leap forward)。[3]
以下、要約。
ヒッグス粒子は、「神の粒子」と呼ばれることも多く、ここ数十年で最も基礎的な部分の一大発見だ。
ヒッグス粒子は、それが何故存在するかには答えないが、物質が何故質量を持つのかを説明することができる。
ヒッグス粒子を見つけるのにこれほど時間がかかった理由は2つある。
まず、ヒッグス粒子は衝突実験をしても、ヒッグス粒子自身の特徴を観測できない。
だから、ヒッグス粒子が無いと仮定した時に現れるであろう現象を観測し、その現象が生じる確率が極めて小さいと言う必要があること。
また、ヒッグス粒子がどのくらいの質量を持っているかが分からなかったこと。
そのため、幅広いエネルギーの範囲を探索する必要があった。
今、LHCでは、暗黒物質の手がかりとなるかもしれない新たな粒子の発見にも期待されている。
我々が普段見ている宇宙は、全体のうち、わずか4%にしか過ぎない。
残りは、目に見えない暗黒物質と暗黒エネルギーだ。
その謎の解明への手がかりの発見が期待されている。
イギリスの博識な科学者J.B.S.Haldane氏は言う。
宇宙は我々が考えている以上に、異質なものかもしれないだけでなく、
我々が想像できるよりも、遙かに異質なのかもしれない。
ひとこと
The Economist誌は、ヒッグス粒子だと言い切っているけれど、正式にはまだ確定ではない。
でも、まあほとんど確定。(約5σの外で観測される現象を捕まえたから)
ヒッグス粒子でない場合でも、それはそれで大発見。
そんな場所(125GeV)にいる粒子は、一体何なんだ、ということになる。
素粒子物理学、天文学にも、まだまだ大きな謎が残されている。
暗黒物質や暗黒エネルギーの謎は、生きている間に解明されるのだろうか?
定式化した上で現象を予測し、実際にそれを観測できるのか。
または逆に、何らかの現象を観測し、そこから宇宙の法則を定式化することができるのか。
科学者達の今後の活動に期待ですね。
因みに、The Economist誌は、世界の政治経済のお話だけでなく、毎週こうした科学やテクノロジーの話題も載っている。
後は、文化や芸術面についても。
興味があれば、一読をお勧めします。
後は、この記事。
"神"の金庫番争い(God's bankers)[4]
バチカンの後継者争いのお話。
上の画像を見ていただくのが分かりやすい。
神の銀行からお金を引き下ろせるクレジットカードを手渡されている様子。
現在バチカンでは、機密文書が次々にリークされる、バチカン・リークスが問題になっている。
その中に、パオロ・ロメオ枢機卿が85歳の教皇は11月までに死ぬと言っている文書がある。
そして、その後釜に座るために動いている人物がいる。
教皇庁の国務長官ベルトーネ枢機卿。
ベルトーネ枢機卿は、イタリアのジェノヴァにいる部下や彼と同じくピエモンテ出身の人間との関係を強めている。
また、バチカンの金庫の管理人の一人を掌握し、バチカン銀行の役員の任命権も得ている。
そして、教皇庁にも強い影響力を持つバチカンの知事との関係も強くなっている。
ベルトーネ枢機卿の動きを批判する人は、彼はこうしたことを行い、次期コンクラーベを掌握しようとしていると語る。
ひとこと
バチカンの中も権力闘争や腐敗の温床。
だって、黙っていても信者からお布施が入って来ちゃうんだもん。
12億人と見積もられているから、その額もとんでもない。
万一、バチカンのお金が無くなった時には、神の名義を使って救いを求めればあっという間にお金が集まる。
それが、神のクレジットカードの意味。
まあ、普通の人間だったら、バチカンの権力を使って何かやりたくなっちゃう。
性的な犯罪やマネロン、信者からのお金をポッケに入れたり、その他危ないことをやっても隠蔽できちゃう。
全世界に張り巡らされた強力なネットワークがあるから。
バチカン・リークスで、さらなる腐敗が明るみに出されると良いですね。
ここまで読んだらクリック
[1] The Economist, Jul 7th 2012
[2] KAL's cartoon
[3] Science’s great leap forward
[4] God’s bankers