亡くなった人の髪を切ることはある?
〜美容師×僧侶の特別な経験〜
美容師として、そして僧侶として、人生のさまざまな場面に立ち会わせていただくことがあります。その中でも特に特別な経験のひとつが、「亡くなった方の髪を切る」ということです。
故人の髪を整える意味
「人は亡くなったらすべて終わり」と思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。故人を送り出すご家族にとって、お見送りの時間はとても大切なもの。最後のお別れの時、できるだけ美しく整えてあげたいという想いは、ごく自然なものです。
実際に、ご遺族から「母の髪を整えてほしい」「父の髪をカットしてあげたい」というご依頼をいただくことがあります。長年担当させていただいたお客様の場合、その方の好きな髪型やこだわりを知っているからこそ、できる限りのことをしたいという気持ちになります。
美容師としてできる最後のお手伝い
髪は生きている間、唯一自分で変えられる“外見の一部”です。髪型ひとつで気分が変わり、自分らしさを表現できるもの。だからこそ、最後の最後まで「その人らしい姿」で旅立ってほしい。
亡くなった後に髪を整えるのは、技術的にも精神的にも簡単なことではありません。でも、美容師としてその人の人生に関わらせてもらったからこそ、「最後まで担当させていただきたい」という想いがあります。
また、僧侶としての立場から考えると、この世からあの世へ旅立つ準備のひとつとして、清める意味もあるのではないかと思います。お釈迦様の教えにも、「この身は借り物であり、いつかは手放すもの」とありますが、その「手放す」準備をお手伝いすることも、大切な役割なのかもしれません。
遺された家族の心を整える時間
実は、故人の髪を切ることは、遺族にとっても大きな意味を持ちます。カットをしながら「この髪、ずっと綺麗にしてたね」「パーマをかけるのが好きだったよね」と話す時間は、悲しみの中でも穏やかな時間となることがあります。
遺髪を大切に保管される方もいれば、筆やお守りとして形に残す方もおられます。それだけ「髪」には人の想いが宿っているのかもしれません。
まとめ
亡くなった方の髪を整えるというのは、単なる美容技術ではなく、その人の人生と向き合い、遺された方々の心を癒す時間でもあります。美容師として、そして僧侶として、そうした特別な瞬間に立ち会わせていただけることは、とても尊いことだと感じています。
髪を整えることは、その人の「最期の支度」。そして、それは家族にとっての「心の整理」の時間でもあるのかもしれません。
最後まで「その人らしく」美しく旅立てるように。これからも、美容師と僧侶の立場から、できることを続けていきたいと思います。
#美容師と僧侶の二刀流 #故人の髪を整える #最後のカット #遺髪の意味 #心の整理 #美しく旅立つ #故人への想い #大切な時間 #感謝の気持ち #人生を彩る