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https://www.bbc.com/news/articles/cy4y3529v7vo
スティーブ・ローゼンバーグ:クルスク侵攻でロシアが戦争に反対することはない
2024年8月8日 10:22 GMT
ロシアのウクライナへの全面侵攻は、クレムリンでは短期間で迅速な軍事作戦として構想されていた。
ロシアが隣国を支配するには数日、長くても数週間とかかからないと予想されていた。
それは2年半近く前のことだ。
ウクライナでの戦争は激しさを増している。モスクワが意図した通りにはまったく進んでいない。
しかし、問題は次の点だ。過去29か月間、ロシアの高官が作戦は「計画通り」に進んでいると主張するのを何度も耳にしてきた。
大統領ウラジミール・プーチンが最後にそう言ったのは5月のことだった。過去2年間に起こったすべての出来事、すなわち戦場でのロシア軍の多数の死傷者、黒海での複数のロシア軍艦の破壊、ロシア国内奥地(クレムリン自体も)へのドローン攻撃、ウクライナ国境付近のロシアの町や村への砲撃、モスクワに向かって進軍したワグネル傭兵の反乱などにもかかわらず。
今、そのリストに新たな一件が加わった。今週の国境を越えたウクライナ軍によるロシアのクルスク地方への攻撃である。
まず、免責事項:クルスク地方のスジャ地区で現在何が起こっているのか正確に知ることは困難である。そこにウクライナ軍が何人いるのか、彼らがどれだけの領土を占領したのか、そして彼らの最終目的は何なのかは不明である。
ロシアの新聞「ネザヴィシマヤ・ガゼータ」の本日の版は次のように宣言した。「クルスク戦線の出来事は悪名高い『フォッグ・オブ・ウォー(戦争の霧)』に包まれている。」
しかし、霧の中でも明らかなことがある。
クルスク地域で展開している事態は、ロシアのウクライナ戦争が「計画通り」に進んでいないことのさらなる証拠であることは明らかだ。出来事はロシアの政治および軍事指導部を完全に驚かせたようだ。
モスクワがそれを認めるとは期待してはいけない。
ロシア当局は、ウクライナの攻撃を利用してロシア国民を政府の周りに結集させ、(a) この紛争でロシアは侵略者ではない、(b) ロシアは包囲された要塞であり、侵略して破壊しようと企む敵に囲まれているというクレムリンの公式見解を強化しようとする可能性が高い。
実際には、隣国への本格的な侵略を開始したのはロシアだった。
明らかに言葉には大きな違いがある。ロシアが2022年2月に国境を越えてウクライナに軍隊を投入したとき、クレムリンはこれを「特別軍事作戦」と呼び、ロシアが町や村を「解放」していると主張した。
モスクワは、ウクライナ軍がロシアに侵攻したことを「テロ攻撃」および「挑発」と表現した。
ウクライナ軍によるクルスク地域への攻撃とそこでの激しい戦闘は、敵対行為が国内に近づいている兆候である。しかし、それがロシアの世論を戦争反対に変えるだろうか?
必ずしもそうではない。
昨年、私はクルスクと同様にウクライナと国境を接するロシアの地域、ベルゴロドを訪れた。そこは国境の向こう側から砲撃されていた。私が会った人全員が、ロシアのウクライナへの全面侵攻以前にはこのようなことは何もなかったと私に語った。2022年2月以前は、ベルゴロド地域は平和で静かだった。
しかし、私が話したほとんどの人は、「特別軍事作戦」が間違いだったと結論付ける代わりに、ロシアに軍事行動を強化し、ウクライナ領土にさらに深く侵入するよう求めた。
ロシアの元大統領ドミトリー・メドベージェフはまさにそれを要求している。彼は本日ソーシャルメディアの投稿で次のように書いた。
「我々はウクライナにまだ残っている土地をもっと奪うことができるし、奪うべきだ。 「[我々は]オデーサ、ハルキウ、ドニエプル、ミコライウに行くべきだ。キーウ、そしてその先へも。」
しかし、ドミトリー・メドベージェフが主導権を握っているわけではない。ウラジミール・プーチンが握っている。我々は、南ロシアで起きたこの数日間にわたる劇的な出来事に彼がどう反応するかを見守るつもりだ。
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仮訳終わり
スティーブ・ローゼンバーグとは次のとおり
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スティーブ・バーネット・ローゼンバーグは、BBCニュースのイギリス人ジャーナリスト。彼は、2006年から2010年までのベルリン特派員を除いて、2003年からモスクワ特派員を務めている。2022年、BBCのロシア編集長に任命された。
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仮訳一部