一匹のバッタが飛蝗になるまで | KGGのブログ

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一匹のバッタがどのように疫病になるか

視覚ジャーナリズム・チーム

2020年2月7日

 

 サバクトビバッタの巨大な大群は、アフリカの角と南アジアを破り、収穫をむさぼり、食物供給と生計を脅かしている。それは四半世紀で最悪の来襲である。それは、どのように悪くなったか?

 

 バッタの一種、このサバクトビバッタは通常、内気で孤独な生活を送ることを好む。卵から幼虫になり、これは『跳び虫』として知られるが、その後飛翔型の成虫になる。注意して見ないと、単純な存在である。

 しかし、時にサバクトビバッタは二重人格のようにジキルからハイドに変わる。緑の植物の領域を減らすような互いに混雑すると、バッタは孤独な生き物を止め「集団を好む」小さいけだものになる。

 この新しい社交的な時期に、その昆虫は色を変え、集団になる。貪欲な略奪する害虫である巨大な飛翔群となる。

 

 そのバッタの群れは巨大になり得る。それは100億匹にもなり、数百Kmにも伸びる。それらは一日に200Kmを覆うことがある。食い散らかし、繁殖することにより地方の生活を破壊する。

 

 平均的な群れは、1年間に2,500人が潤う食糧を食い尽くしてしまう。国連食糧・農業機構(FAO)による。

 

 近年の大規模なもの、群れの急増は、2003年から2005年に西アフリカにおいて発生し、25億米ドルの農業被害を与えた。国連による。

 

 しかし、1930年代、1940年代ならびに1950年代にも巨大で破壊的な群れになった。その中には、複数の地域に広がり、「大流行」と宣言されるほどの数に達した。

 

 全体として、FAOはサバクトビバッタが、この地球上の10人に1人の生活に影響を与えていると試算する。それは、世界で最も危険な移動型の厄災である。

 

 

群れは東アフリカやパキスタンの作物を荒らした

 この数十年で最悪のサバクトビバッタの群れは、アフリカの角であるジブチ、エリトリア、エチオピアやソマリアの中、またそれを超えて作物や牧草地を壊滅させている。その地域の食糧安全保障を脅かしている。

 

 その貪欲な昆虫は、ソマリアとエチオピアを破壊したあと、現在ケニアで拡大している。それはケニアにおいてこの70年間で最悪の事態であり、ソマリアやエチオピアではここ25年で最悪である。

 ソマリアは、危機により国家非常事態を宣言した。パキスタンの後でそうした二番目の国である。そこで、その昆虫は東部地域で綿、小麦、トウモロコシと他の収穫を壊滅させた。

 

 最も懸念があるのはアフリカの角である。FAOは語る。バッタがあまりに速く繁殖しており、6月までにその数は500倍に増えるに違いない。

 一部の群れは数日中にウガンダや南スーダンに達し、対応しなければ地域に蔓延るだろうとFAOは警告した。

 

 その害虫は、12月終わりまでにソマリアとエチオピアの農地175,000エーカー(7,800ha≒2千360万坪)以上を既に食い尽くした。

 それらは、350平方キロに渡り一日1.8メートルトンの植物を消費している。

 FAOは、ケニアの群は40Km×60Kmを覆っていると考えている。

 

 

イナゴはどのくらい消費することができるか?

 サバクトビバッタ成虫は、毎日体重と同じくらいの食料を食べる。およそ2gである。

 

 その地域の当局は、現在、バッタの危機が農業生産の大幅減少を導くだろうと恐れる。すでに洪水と旱魃の影響で動揺する地域において食糧供給に更なる脅威を与えている。その地域の2千万人以上に影響するに違いない。国連は語る。

「我々は、ケニアとエチオピアについて最も懸念している。なぜなら、巨大な群が2つの地域にあるからだ。」FAOの上級飛蝗予報官キース・クレスマンは語る。

「加えて、エチオピアでは、現在繁殖しており、バッタの数が増えている。」

 

 ケニア北東部の68歳農夫アリ・ビラ・ワゴは、長い旱魃が終わり最近の雨量から今季は良い穀物収穫を期待していた。

 しかし、バッタは育てたメイズ(トウモロコシ)や豆を全て食い尽くした。

「やつらは大部分の穀物を食い尽くし、喰わないものは乾燥した。」彼は語る。「随分やられてしまった。ちゃんと目で確認していたのだが食べることはできなかった。」

 

 1960年代の飛蝗被害を覚えているワゴは、その群れがどれだけ空を暗くするか語った。

「真っ暗になって、太陽が見えなかった。」

 

 

異常気象がその危機を加速する

 現在の飛蝗来襲の原因は、2018〜2019年のサイクロンと豪雨に遡る。

 

 サバクトビバッタは、通常、西アフリカからインドにおいて約30ヵ国の乾燥地帯に棲んでいる。ほぼ1600万平方キロの地域である。

 

 しかし、2年前のアラビア半島南部における湿った好適な環境が、バッタの三世代で気付かれずに増加した。国連が言う。

 

 2019年始めまでに、最初の群はイエメン、サウジアラビアとイランに向かった。そして、東アフリカへ移動する前にさらに繁殖した。

 更なる群れが形成され、昨年末までに、エリトリア、ジブチならびにケニアで発達した。

 群れはまた紅海の両岸に沿って発達し、エジプト、スーダン、サウジアラビアおよびイエメンに影響を与えた。また、インド-パキスタン国境に沿って状況は「極めて危ない」と国連は述べてきた。

 

 たとえそのような飛蝗来襲が、地理的に広い範囲に影響があることから闘うには大変困難であるとしても、FAOのクレスマンは今回の特定のバッタ急増に対して闘うためにもっと早く取り組むことがあったに違いないと考えている。

「重要な国の一部でなされる制御のより大きく効果的な努力があるなら、その状況を最小にしたかもしれない。」クレスマンは語った。

 

 

人々は巨大な群れに取り組もうとする

 アフリカの角にいるそのバッタの大群は、現在、先例がないくらいにその大きさと破壊力があり、国々はそれらに対処するべく闘っている。

 

 その流行の封じ込めは2つの要因にかかっている。監視と効果的制御である。

 FAOにより運営されるサバクトビバッタ情報サービスは、時期、規模や侵略地域ならびに繁殖状況について予報、初期警告、警報を発している。

 

 しかし、アフリカの角におけるように、一度、生息数が臨界レベルに達すると、より多くの群れの形成や拡大を防止するのみならず、バッタの個体数を減少させるために緊急行動が必要となる。

 

 

どのようにバッタの大群に立ち向かうか

「非常に巨大な規模による空中制御作戦がケニアやエチオピアで必要である。理想的にはソマリアでも。しかし、それは安全保障上不可能である。」クレスマンは語る。

「バッタの個体数は、今や、成熟した群れにあり、航空機を使用して群れを叩くことが理想的であろう。成熟し産卵する数を減らすことができる。」

 

 現在、生物農薬もしくは天敵の導入のようなもっと環境に優しい解決法の研究が進んでいるが、最も一般に用いられる方法は農薬散布である。

 手押しポンプ、車両もしくは航空機を用い害虫の上にかけると、群れ全体を標的にすることができ、比較的短期間のうちに農薬で殺虫することができる。

 

 ケニア侵入と闘うための努力は、航空撒布で強まった。しかし広大で遠隔地でのそのような巨大な個体数を制御することは理論的な問題で留まっている。

 

 そこには基盤整備がなされておらず、また知識の収集もないことから、何十年もバッタを退治する必要がなかった国や地域では特に困難である。

 

「群れが帰ってきたら相当のパニックを引き起こすだろう。」クレスマンは語る。

 

 パキスタンのみならずソマリア、エチオピアやケニアにおいてとられた行動は、次ぎに何が起こるか決定するであろう。現在の飛蝗襲来がより多くの国境を越え、より多くの地域を襲い、より多量の収穫物を台無しにするなら、それは「流行」と宣言されるに違いない。

 

 国連は、その地域における空中ならびに地上からの散布活動は現在「不十分」であると語り、またその危機に立ち向かう支援をするため国際社会に7千万米ドルの緊急財政出動を求めた。

 

 しかし、ケニアの農夫アリ・ビラ・ワゴと家族にとって、どの活動もすでに手遅れである。その害虫と闘うために行うことができる唯一のものは、ジェリー缶を叩き、大声を出すことだった。

 

 起こったことについて、彼は哲学的でさえある。

「これは神の意志なのだ。これは神の軍隊なのだ。」ワゴは言う。

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仮訳終わり

 

 

 

 出エジプト記の厄災の一つ。飛蝗。新共同訳では「イナゴ」と翻訳されていますが、「locust」はバッタですね。飛蝗の「蝗」という漢字を「いなご」に読んだときから日本での誤解が始まりました。

 

 バッタも食えるのかなあ。イナゴ以上に足が硬くて噛むと口の中を怪我しそうです。

 イナゴはタイでたくさん食いました。美味しかった。向こうでは『素揚げ』にして、粉末醤油をかけるのですが、けっこう『いけます』。日本では佃煮ですね。どちらにしても跳ねる後肢は堅過ぎるので、タイ人でも足を取ってから食べています。

 

 バッタはどうなのでしょう。ただし、人がバッタを食い尽くす前に、バッタが植生を軒並み淘汰していくでしょう。

 かなりすごいようです。

 

 この記事の動画は面白く、一見の価値があります。