【10月6日05:00名古屋市瑞穂区】
2日目は午前4時に起床。グズグスと支度をして午前5時の出発を目指した。
ホテルが用意しくれた自転車置き場には私の自転車を含めて4台が停められており、
どれもビワイチの参加者と思われた。
この日の名古屋は蒸していた。気温は高くないが湿度は高い。
天気予報では岐阜に入る辺りから雨。琵琶湖の北側ではまとまった雨となるが
その後は天候は回復しそうだった。
この天気予報を自分の都合の良いように解釈した結果、サドルバックを外してレインパンツは
ホテルに置き去り。レインウェアは持って行くが、防水手袋は置いていくという今考えれば
どうしてそう思った?と当時の自分を小一時間問い詰めたいような装備でスタートを切った。そのくせ肩掛けのコンデジは水没を恐れて置き去りだった。
なので2日目は写真が劇少である。
名古屋市内は険しい信号峠だったが、早朝なのでバスも少なく安心して走れた。
一路進路を西にとり木曽川と長良川を渡って揖斐川の手前を右折して農道に入った。
この辺りはすでに一雨あったようで路面はしっかりと濡れていて水たまりもあった。
「ひょっとしてこのまま雨の合間を縫って走れるのではないか?」
そんな甘い考えも頭をよぎった。
しかし進行方向には低い灰色の雲。絶対にあの下は雨が降っていると確信できた。
雨ライドで難しいのは「いつ雨装備を着るか」だと人は言う。
雨装備を着るのは手間がかかるし、雨が上がれば無用の長物だ。
できるだけ着たくないと思うのもののようだ。
当然私もなるべく着たくないと思っていた結果、かなり本降りになってから雨装備を着込んだ。
レインウェアを着込み、シューズの上からビニールを被せさらにレインシューズカバーを装着。
手袋はファイントラックのメッシュインナーグローブに普通のフルフィンガーグローブとなった。
グローブに関してはこれでも蒸れない、皮膚がふやけにくいという意味においてなんとかなった。
問題はシューズ。あまりシューズ内まで濡れているようには感じていなかったのだが、
実際にはソックスまで絞れるくらい濡れてから雨装備を装着したので効果は半減。
コースに戻ると養老町から関ヶ原にかけてのコースは気持ちよかった。
適度なアップダウンは繰り返しやってくるが交通量が少ないので雨でも危険を感じる場面は
無かった。松尾山を通る辺りでは「ここらへんが治部殿を裏切った毛利勢の陣地だったな」とか「そうすると松尾山はあそこらへんで伊吹山はあっちかな」と物思いにふけながら走っていた。
治部殿は今年も負けちゃったな・・・。
今須の辺りでR21を下っていく時に雨はやんだ。
助かった・・・これで雨は終わりか・・・?考えが甘すぎる。
米原駅を越えて琵琶湖の手前のセブンイレブンが通過チェックとなっていたのでここで休憩。
90kmちょっとを4時間半ほどで走っていた。順調である。
【いよいよビワイチ】
米原の通過チェックで少々補給をして、雨具もしまい込んでスタートする頃に兼定氏とゆーさく氏が連れ立ってやってきた。
ゆーさく氏は膝痛が発生しているようで苦しげな表情だ。健闘を願うが自分も気持ち的に余裕があるわけではないので先を急ぐ。
琵琶湖東岸を北上していく。道はど平坦。アップダウンらしきものは皆無。
上空は厚い雲に覆われているが、どこまで天気がもつだろうか?
長浜城を過ぎて尾上温泉あたりでパラパラと降り出すがまだ雨は弱い。
この付近を走行中に宗谷600やノトイチ400で見かけた記憶があるランドヌーズと出会う。
1シーズンの間に3回も同じブルベに出ていることになる。来年のPBPも狙っていて脚を作っているのだろう。私と一言二言交わしてくれた後に華麗に加速していって消えた。
琵琶湖の北岸に達した辺りから雨粒が大きくなってくる。顔に当たると痛いレベル。
風も強くなってきたのでいよいよ台風の影響をモロに受けているのを実感した。
相変わらず遅きに失しているが雨具を着込む。
永原の辺りでかなり風雨ともに強くなってきたのでコンビニの軒先で一休み。
その間にも何人かの参加者が目の前を通り過ぎていく。その中に見知った姿があった。
mom氏だ。3人でグループを作っていたので便乗させてもらうべく休憩を切り上げた。
琵琶湖西岸をお三方の後方に位置して付いてこうとするが、あれれ?脚が回らない。
平坦地なのにほどなくちぎれてしまった。ああ、いつもの疲労性の腰痛が出てきていた。
湖岸に植えられた並木の根っこが路面に凹凸を作っているが、それを超えるだけで腰に響いてくる。
こんなときはネオパスタノーゲンを塗り塗りして痛み止めを飲んでおかねばならないが、今回はそういった薬的なものは一切合切忘れてきたことを思い出して、一気にモチベが下がる。
加えて風雨は一層強くなっていく。
新旭の通過チェックでmom氏御一行に追いついたが、腰も痛いし雨も強いしで先行してもらう。
この時12:55。
若干雨脚が弱くなったタイミングで出発するが、すぐに雨粒が叩きつけてきて前進を阻む。
商店の軒先で雨をやり過ごすが、さほど弱くなりそうもない。
意を決して進み、近江高島付近でR161に合流する。
R161はかなり交通量が多かった。そして大雨により路面には盛大に水たまりがあった。
そこを疾走するトラック・・・。
トラックが横を通過するたびに当然の如く水を浴びた。何度も浴びた。
ドライバーは私を避けて走ってくれているのがわかるので恨む気持ちはサラサラないが、心が折れていくのが分かった。
北小松でR161と別れたが雨風ともにまだまだ強い。
鉄道の高架下で他の参加者二人とともに雨宿りをする。
「・・・・・なく・・・番・・・に電・・・が参り・・・す。」
幻聴も聞こえてきた。
「間もなく1番線に電車が参ります。」
最近の幻聴はずいぶんとはっきり聞こえるものだ。
スマホで現在位置を確認すると湖西線の高架下だ、というか近江舞子駅の下だ。
ほんの少し先には駅の改札口がある・・・・
そこから輪行すれば名古屋に新幹線で帰れてホテルでゆっくりと眠れる。
雨に打たれることもない・・・
この誘惑には勝てなかった。
初めての1000KMブルベは480km地点でDNFとなり終わった。
皮肉なことにホームに上って電車を待つうちに雨は上がり日差しも出てきた。
それを見てもDNFを後悔しなかったところを見ると、このときの私は本当に限界だったのだろう。
腰痛はあるものの、耐えられないものではないし膝などの痛みがあるわけではない。
ただいつも用意していた薬類を忘れてきて、甘い判断で雨装備をかなり名古屋でパージしてしまい、なけなしの雨装備類も装着する判断が悪く効果を発揮できなかった。
自分の不甲斐なさ、甘さが身にしみた。
あと1回つづく