茶室を楽しく清めるシュロの箒
一般的な室内ほうきやホウキモロコシで出来た和ぼうきと違って、棕櫚のほうきは穂先に密度があり、適度な重さがある。
畳の目に沿って穂先が自然にゆっくり動いて、細かな埃も舞い上がることなく掃き寄せられる。
無垢のフローリングや長い廊下、部屋の隅や階段もスムーズに埃が集められる。
掃除機のように本体が敷居に乗り上げたり、ノズルが壁や戸を傷つける心配がない。
仕方なく始めた掃除が、不思議と楽しくなってくる。埃を集めるのでなく室内を清めている感覚になる。
書道では、墨を磨っている時間が最も大切だとされるように、掛け軸も花もない茶室がしつらえられる前の空間を清めることから、茶道は始まるのである。
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