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藁を焚べて沸かしたお茶

 もうすぐ我が庵の付近の

田圃の稲は黄金の秋を迎える。

 幼い頃、お米を作っていた我が家では、秋になると一家総出で稲刈りをした。刈り取った稲を天日干しするため、幼い私も自分の体より嵩のある稲の束を抱いて、田圃の端まで運ぶお手伝い。お昼時になると、母が家から食事を運んできて、田圃の中で昼ご飯。


 柔らかな秋の陽射しに包まれた昼の膳。藁を焚べて沸かしたやかんの番茶のおいしさは、未だに忘れられない。


 しかし、その時以来、藁の火でお茶を作ったことはない。薪で焚いた風呂の湯は私にとっては温泉以上に価値あるものだが、お抹茶も藁の火で沸かしたお湯で点てたら、また格別なものになるのではないかと思っている。

 茶室の中では無理だが、いつか野点を工夫して藁の湯で点てたお抹茶を幼い日の記憶とともに味わってみようと思っている。


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