7月15日(月)
部屋に写真や絵を飾る趣味というよりセンスがないので、私の部屋は殺風景だ。
ベッドに1枚だけ、私と10数年前に他界した夫の私と二人で写っている写真を置いている。
その写真の夫に、たまに話しかける。
「貴方はいいね、いい時期に死ねたもの。 80歳を過ぎて生きているって、なかなか大変で、しんどいよ。私本当は、もう充分生きたって思ってるもの。ちょっと貴方がうらやましい」
写真の夫は何も言わないけれど、67歳という年齢では
まだまだ生きたかった、死ぬのは悔しかった、というかもしれない。突然死に近かったので、別れの言葉は聞いていない。 それも口にせぬまま逝ったのは、この世に未練があるだろうな。
私の言葉緒聞いて、本気で叱る人や、怒る人もいるだろうな、とも思う。
でも、私の知る中で、心の底から、相手を愛し、かけがえのない存在と思って暮らした夫婦はほとんど知らない。もちろん別れに際して、悲しい、寂しい、残念はあると思う。
昨日の朝日新聞Be の4面 「それぞれの最終楽章」 に掲載されていた
漫画原作者 城アラキさんの「最愛の妻の死」に驚きと感動を覚えた
「僕は、遺体の唇にキスをし、顔をすり合わせた。氷のように冷たかった。 焼かれた骨の薄いのをつまんで口に入れた」
祖それから100日くらいは妻のベッドで眠り続け、抗うつ剤が手放せなくなった。
その後酒浸りになった。 心のどこかで「妻のいないこんな世界は滅びてしまえ、と呪っていた」
妻は昔からその時々の自分の置かれている状況に動揺せず目の前の一歩だけを一歩だけを淡々と歩む人だった。 だから迫りくる死の恐怖や不安にもたちすくまなかった。 そんな生き方は最後までぶれず、僕は大切なことを学んだ。
私は心底愛し信頼し、尊敬し合ってる夫婦の見本を見たことはないように思う。 結婚して夫婦になるとは、こんな愛をはぐくむのか。 この5月に「妻への十悔」という著書を出版されている。
江藤淳さんが奥様を失くされ、g自分の病気もあって自害された。 それを批判する人たちもいる
人を愛するとは、その人にしか分からない心が出来上がるのだろうと思う。
城さんはいきて活動しておられるが、多分奥様から受けとった様々なプレゼントを糧に、なお一層の活躍をされるのだろう。