7月4日(木)

入居時に買って吊っていた薄手のカーテンがところどころに横線が入ったように破れた。

薄い黄色と黄緑のリーフ模様が浮かんでる気に入ってたカーテンだったが、幾本もの破れに、仕方なく廃棄。 ハイツ出入りの業者の方に発注を頼み、昨日、相談員の方が吊るしてくださった。 今度は白のレース模様。 さっぱりと明るくなったかもしれない。

 

昨日、久しぶりに、短期間で(4日かな、でも最近じゃ早いよ) 小説を読み上げた。

ということは、読みやすくて、面白かったっていうこと。

安壇美緒著 「ラブカは静かに弓を持つ」 集英社 (本屋大賞ノミネート)

この作家さんは初めて読んだと思う。 全然知らなかった。

 

音楽著作権管理会社に勤務する 「橘 樹」 が主人公で、実際にそんな事件がありれをモチーフにしているらしいが、著作権侵害の証拠集めのために、ミカサ音楽教室(モデルはヤマハかな?)に、上司の命令で、チェロ教室の上級コースに生徒になって、いわゆるスパイとして潜入することになる。

樹は少年時代に、チェロを習っていたが、その教室の帰り道に誘拐されそうになった、そしてそれにまつわる諸々で、チェロから離れ、心に闇を持つ、他人との交わりの苦手な青年となった。

講師の浅葉は音楽的技術や指導にも優れ、人間としても暖かで、おおらかな人だった。

業務命令に従う感じで通い始めた音楽教室だが、樹は次第にチェロの魅力を思い出し、演奏者の魅力を思い出し、個人として必死に練習するようになる。

同じ師をもつ教室の仲間との会合にも参加し、普通の人間関係を思い出してゆく。

スパイであることの苦悩は、あまりくどくど書かれているよところは少ない。 が師を尊敬するほどに、抱えている苦悩は辛かっただろう。

会社は、樹のほかにも教室に生徒をスパイとして送り込んでおり、そちらがマスコミに騒がれた

樹は、間一髪、パソコンのデーターの消去に成功する。

だが、ちょっとしたことから、同じスパイ (これが題名のラブカの意味らしい)の人を持った生徒であることが分かり、浅葉を怒らせ、悲しませ失望させる。 

 

しばらくの時を経て、樹は会社を辞め、チェロをもって生徒として音楽教室を尋ねるところで終わっている。 その前に仲間との会合にも顔を出し、人間同士の和解の時が近いことを書いている。  スパイ事件を扱っているより、樹の心情をテーマにした小説という気がした

音楽を奏でている間に、それ以外のものはそっと鎮まってゆく。

その他の雑事は、音楽の深さ、広さに包み込まれてしまったか。 そんな物語だった。