3月22日(金)
今日はDVD鑑賞会があり、私としても久しぶりの映画鑑賞だった。
上映の映画は 「ラーゲリーより愛をこめて」 2022年制作。
原作が 辺見じゅん の「収容所から来た遺書」 大宅賞・ 講談社ノンフィクション賞 という二つのノンフィクション部門の賞を獲った実話をもとにした伝記小説を映画化したもの。
私の小学校頃には、シベリアに抑留されて酷寒の苦労を話す人があった。
南洋で苦労した人の話もあった。 いつのころからか話題になることはなくなった。
辺見さんの本は1989年上梓とあった。映画は2022年だった。
原作を読んでいないが、映画は戦争を経験した日本人として、その愚かさ、悲惨さの一部としてのシベリア捕虜収容所での10年余を描いた作品を見る(あるいは詠む)価値がある、と思う。
主人公 山本幡男(二宮和也) は満鉄に勤めていたが、ソ連の満州攻撃から捕虜となって、零下40度もあるシベリアの捕虜収容所(ラーゲリ)に送られ、わずかな食物で過酷な労働を課せられる。 たえられずに死んでゆく人、絶望的になる人、仲間同士のいざこざなどの中でも、人間としての尊厳を失うことなく、公平に仲間と接し、常に希望を与える言葉を吐き、俳句の会をしたり、野球の真似事をして遊んだり、ソ連兵に何度も暴行等を受けても、屈することなく、人々の人望を集めていた。
日本では、満州からの引き上げを果たした 妻 モジミ(北川景子)と4人の子どもは、父親はきっと帰ってくると信じて生活していた。
日ソ国交回復で手紙のやり取りが可能になったのは10年後? だったか。 お互いに生きていることが分かって喜び合うが、山本幡男はすでに咽頭癌に犯され弱ってゆき、命絶え、シベリアの地に葬られる。
遺書を書いていたが、文字を残すことはスパイ行為になるため、その内容を仲間が暗記し、帰国後に家族に伝えることにする。
抑留生活11年目でダモイ(帰国)を果たした仲間は順にモジミの所を訪れ、遺書の内容を話す
ラーゲリーでの過酷な抑留生活の描写という場面と、一方、夫婦愛、家族愛を書いたものだが、もっと早くに帰国できた人は多かったが最初は60万人もいたと聞いて、戦禍によるものだけでなく、一般人を含めた抑留という犠牲者の多さにも驚いた。
二宮和也の演技が人柄をよく表していてとてもよかった。収容者仲間の姿も演技も心を引き付けられた。 チラシ広告の紹介から、悲しい映画は見るのはやめようかな、と思ったが、戦争ものは久しぶりだったが見ておいてよかった(戦争を知らない世代にも見せて、)、と思った。