7月11日(木)

午後3時を回ったころだったかAさんから電話がかかってきた。

「あら、こんにちは。久しぶり。 私も一度電話しようかと思ってたよ。 お元気?」

友人、知人からの電話は暇な私には、いつだって嬉しい。 だから嬉しそうに出ただろう。

「それがな、元気と違うねん。 5月に自転車に乗ってて、こけてしもて、そのまましばらく乗ってたらまたふらついてこけて、病院に行ったら、足を骨折してます、入院してください。 でちょうど1か月入院してた」

「そら大変やったね。私の骨折は去年の3月やったけど、手術はしたの?」

「手術なしで一応治ったけど、続きがあるねん。 そこで、たまたました尿検査で膀胱がんが見つかった。 K病院に紹介をしてもらって、今月の×日に手術することになった」

「尿検査から、見つかったなんて、症状なしで初期でしょう」

「そうかな、何日ぐらい入院するんですか って聞いたら3,4日、と言うてはった」

「それやったら、がんの部分だけを焼灼する、一番軽い段階じゃないの。 ガンといわれりゃショックだろうけど、その段階で見つけられて、ラッキーだったわよ。絶対成功するから、頑張って。

あ、今は、頑張ってって、禁句とされてるのか。

でも、頑張って、私より先に向こうに行かせないからね」

「ようなったら、また電話するわ。会ってしゃべろう」

近くに長男さん夫婦が住んでいるので、食事の面倒とか気遣ってもらってるらしい。

転んで骨折することも、がんになることも、私と一緒で、すなわち 老人には日常ありふれた出来事で、日常会話の電話のやり取り。

 

これからも、楽しい出来事なんてあまり期待できないで、病気だのケガだの、それをどう受け止めて、乗り越えるか、生きること自体が、生きることのすべてだな、それが「老い」 なんです。