昇り龍冠菊

 

 この作品も篠原演劇企画さんの新風プロジェクトの脚本公募企画に応募して選んで頂けた脚本です。こちらは渡辺和徳先生の潤色で、浅草木馬館では劇団鯱の兜獅子丸若座長主演・篠原演芸場では長谷川劇団の長谷川一馬若座長主演で2日間に渡り上演して頂きました。

 大衆演劇には綺羅星のように輝く若手俳優さんたちも沢山いらっしゃいます。いつもは座長さんを支えて脇を固める若手さんたちがキラキラ輝くようなお話が書きたくて…。いざ上演されたものを観せて頂いたところ、私のやりたかったことを見事に汲み取って下さった渡辺先生に加えてそれぞれ全く違った演出で作り上げられていて、同じ脚本のはずがこんなに違った顔を見せてくれるとは…と、本当に素敵だったのと同時に大衆演劇の可能性を無限に感じた作品になりました。

 ここでは渡辺先生に手を入れてもらったものではなく私のオリジナルバージョンとなりますので、ちょっと物足りないなあ(特に源七郎について)と思う方もあるかと思いますが、その違いも楽しんで頂けると嬉しいです。

 

あらすじ

 小料理屋「蔦屋」に居候している若者、新三には記憶がない。6年前の花火の夜、何者かに背中を斬り付けられ、その衝撃で記憶をなくしてしまったのだ。そんな新三を優しく見守ってきたのが蔦屋の主人与之助とその娘お小夜。ある花火の夜、目の前で友人が乱暴者の侍に背中を斬られるのを見た瞬間に新三は記憶を取り戻す。そこにはある陰謀が絡んでいた…。