5月9日土曜日~その1



匠屋本舗 ごぼうサラダ煎餅を食べながら、ステイホーム特別企画・H3年3月1日~5日までの過去のブログを作成。



(写真)笑福亭鶴志兄さんの訃報を知り、ある一瞬の出来事を思い出しています。あれは、S63年の初夏だったか暮れだったか…。場所は道頓堀の浪花座での浪曲大会。其の頃、尊敬する先代京山幸枝若師匠を追っかけていました。早く着き、お目当ての御大を待っていると、松風軒栄楽師匠が舞台に出て来られました。『乃木将軍』を聴いた時なら6月28日、『推理浪曲』であれば12月17日。幕が降りて、興味深い外題だったと思っていると、少し離れた席に鶴志兄さんが座って居られました。挨拶をするや「この人、おもろいなぁ」と仰り、次に出てきた幸枝若師を聴き終わると、私が芸を盗みに来たのを察して「こんなんしたいねんやろ」と優しく笑って去って行かれたのです。あれから32年、今でも先代幸枝若師匠を目標にしていますし、私の『乃木将軍 伊勢参り』は栄楽師匠の口演をヒントに作った持ちネタです。あの何気ない一瞬の会話は、必死に芸を吸収しようとしていた25歳の私ヘの激励の言葉となりました。現在、ステイホーム中。天津羽衣師匠の啖呵、いわゆるセリフは好きになれませんが、見事な節に触れ、久しぶりに浪花座の最後列に座って大先輩の芸を見ていたあの頃の気持ちに戻っています。そんな折の訃報。心より笑福亭鶴志兄さんのご冥福をお祈り申し上げます。此の集合撮影は、右から桂文福兄さん、桂茶がま君、私、琴奏者の長田清子さん、桂三発君、そして鶴志兄さん。S61年2月、アクティ大阪1階にて。