4月7日日曜日~その6



(写真)さんま兄さんが運営するオフィス事務所の杉井利之・通称 トッさんと久方振りにお会いしました。私も大概、昔の事を覚えていますが、トッさんの記憶力には敬服です。20歳の頃、『ヤングタウン 月曜日』の放送終わりで、毎週のように福島区浄正橋のさんま兄さんのマンションへトッさんと2人で遊びに行っていたのです。ある時、父の道場での稽古を終えてからトッさんと待ち合わせをしてマンションへ伺うと「菊水丸も若いのに、古い芸を演ってるとこが凄いわ。何んぼお父さんが音頭取りや言うても、俺にはでけへん。さぞかし、あの世で喜んではると思うで」とポツリ。トッさんも私も「いゃ、生きてます。さっきまで一緒でした」と口を揃えて言わんとしたら、ファンシーケースのチャックを開けて「頑張れよ、好きな服があったら持って帰ってええぞ」とニッコリ。さんま兄さん28歳。アイドル的な人気で超多忙。サングラスはRay-Ban、着ているセーターがPLAYBOY、アラミスの香りと共に、疾風の如く花月の楽屋へ入って
来て、出番を終えるや、疾風の如く去って行く姿は、若手芸人の憧れでした。ファンシーケースに、みんなが欲しがっていたPLAYBOYのセーターを見つけた私は「有り難う御座います。では、これいいですか?」と言うと「おお、持っていけ、持っていけ。そのかわり、音頭がんばれよ」と取り出して「お父さんの分までな」と付け加えはったのです。部屋を出て「しゃあないわなぁ…欲しいて言うてたセーターが見えたからなぁ」と、トッさんは妙な慰めの言葉をかけてくれたのでした。後々、雑談の際に「えっ、菊水丸、お父さん生きてんのか?」と聞かれる場面が来ましたが「ええ、おかげさまで、生き返りました」と申し上げると、例のヒャヒャヒャの引き笑いでおしまい。そんな懐かしい話に花が咲いたのです。