太陽が、月が、恋しいと――。
太陽は、もう月と離れていたくない、と思った。
月は、ずっと太陽と共にいたい、と思った。
けれども、神々の決めた全ての世界の理を誰にも曲げることは出来なかった。神々さえも。それは、神々の誓約に反することであったから。
太陽はそれでも月と離れていたくないと思い、理に抗ったが、月を垣間見ることが出来ただけであった。その時、人々の世界では皆既日蝕が起こった。
月もそれでも太陽と共にいたいと思い、理に抗ったが、これも太陽を垣間見ることが出来ただけであった。その時、人々の世界では皆既月蝕が起こった。
太陽と月は互いに力を溜めては、理に抗い続けた。そしてその度に、人々の世界では日蝕や月蝕が起こった。
神々はその様に互いを想い、求め合う太陽と月の姿に心を打たれ、太陽と月にある事を提案した。それは、太陽と月が人の身となり、人々の世界へと下りて共にいることだった。
太陽と月の恋物語
作者:水澄碧
太陽は男 陽
月は女 陰
見てしまうのはわからないでもないか