上方浮世絵 - 雪中傘持美人 - 肉筆浮世絵
上方の絵師による雪中傘持美人図になります。無落款の為に作者不明。黒い御高祖頭巾(おこそずきん)の中の美人の唇は笹紅で緑色に描かれています。雪をかぶった傘を大きく取り入れる構図で、見るべき点は雪の表現方法でしょうか。一般に日本画では雪景色などを描く場合は、雪の積もった所などは地の白を生かす為に、その場所は絵の具を使わないで塗り残して雪を表すのですが、この作品は純白の胡粉を蒔き散らす胡粉散らしで雪を表現しています。胡粉とは、ホタテ貝殻の微粉末から作られる日本画の白い絵具です。胡粉に膠を混ぜて描くのですが、この白い絵の具は剥落しやすくて肉筆美人画の浮世絵などの顔に塗られている物が剥落して、不気味な感じになっている物を良く見ます。浮世絵というと木版画のほうがメジャーで、肉筆はあまり流通していないのは偽物が多く,取り扱うのは難しくリスクがある以外にも、絵の具の剥落や折れ、シミ、表装の痛みなどがあって、そのままでは飾るには少し問題があるからなのかもしれませんね。木版画の方が取り扱いも簡単で、簡単に額装もできますし見栄えもいいかもしれません。私などは普段は人に見せるのでもなく、自分の部屋に飾って自分で楽しむだけなので、全く気にしないで安いボロボロの肉筆浮世絵でも買ってしまいますが。たまに肉筆浮世絵の展示会などに行くと、綺麗に見せるために顔を塗り直している美人画が結構あるものです。うまく修復しているならいいのですが、雑に顔全体を塗り直した物などは残念な作品になってしまっています。御高祖頭巾【おこそずきん】江戸時代中期 (18世紀初) から明治,大正にかけて,主として若い女性に用いられた防寒用の頭巾。歌川国貞 雪 (画像提供:国立国会図書館ウェブサイト)