徒然にひとりごと
物語3
ジャンガド王国では、東の国から客人が来ていた。
国王と老師は面会していた。
東の国から来た客人は、ゴォカと共に砂漠を越えてこのジャンガド王国にやって来たあの人々の指導者だった青年だった。名をゴォヤと名乗った。
「あの時は、大変お世話になりました。」と
国王と老師にあの時助けてもらったお礼と、そしてゴォカを迎えに来たと。
逃げて来た村人達を受け入れてくれ、食事を与えてくれた、東に向かう人々のために、そこで育てる様にと作物の種や水を持たせてくれた。
老師は…辛いことだが、と言って、ゴォカの話をせざるを得なかった。ゴォカを預かったのに…こんなことになってしまったことを謝罪した。
ゴォヤは、じっと黙って聞いていたが、実は…と口を開いた。
「ゴォカは、私の歳の離れた弟なのです。」
そして、こんな話をしました。
「私たちの住んでいた地は、そんなに肥えた地ではなくて、私は西の国に、作物の種や苗を探しに友と2人で旅に出たのです。私達の地に合う作物を探して…
そして、1年の旅を経て
どうにか村へ戻った時には、西の国の反逆者達に攻められて、すでに何も残っておらず、私の父母は、殺されていました。まだ小さかったゴォカは、私のことは覚えていませんでした。」
国王も老師も黙って聞いていた。
「あの時、私が兄であると、名乗って、無理にでも連れて行くべきでした…
西の国で買ったゴォカへの土産も、渡すことはできなくなりました。」
とポツリと呟いて、懐から小さな光輝く石を取り出しました。
「ゴォカは、小さな光る石をよく集めていました。」
老師が
「その石は、どこで?」
「西の国の入口にあった小さな店で…老婆が一人で店をきりもりしていました。」
物語4
キーイーとディルが、ようやくザギの店に辿り着きました。
イークは、キーイーの顔を見て、今にも泣きそうに顔がくしゃくしゃになって、キーイーに抱きつきました。
「キーイー、良かった、無事だったんだね。」
「イーク…」
イークは、ディルにも
「ディル…あの時は、あの嵐の夜の、あの時は…ありがとう」
ディルにも抱きつきました。
ディルは、少し照れ臭かったので、山猫になって、イークの涙をペロっと舐めました。
「とにかく、皆んな!旅の疲れを取ってから」とザギが声をかけた。
旅支度を解いて、2階の部屋でほっとしていると
下の店の扉が開く音がした。
ザギが店に降りて行くと、眼光鋭い少し痩せた男が立っていた。
「何かお探しですか?」
「今まで店は閉まっていた…今日から開けるのかい?」と。
「ええ、色々仕入れて来たものがあってね。今日は少しずつ店に出すつもりさ。」
「ここは、婆さん一人でやってるのかい?」
「いや。息子夫婦と孫が裏に住んでいてね。
息子はもうじき品物を仕入れて帰って来るんだ。」
「なるほど、それで店の開店というわけか。」
「まだ、品物がそう無くてね。明日か明後日には…開ける予定だよ。」
奥の扉が開いて
「お母さま、この布は、どこに置きますか?」と声をかけたのは、薄い茶色の髪を、一つにまとめたスレンダーな女性であった。
「ほう、息子の嫁さんかい?」
キーイーは、その客人を見て…少し足が止まった。
「では、店が開いたらまた来てみよう…」
そう言って店から出て行った。
「ザギ…今の…」
「しっ」
ザギが目配せした。
店の扉の向こうに動いている男の影が見えた。
キーイーは、そっと裏の部屋から2階に上がって、窓からそっと外をのぞいた。
ちょうど下の道で店をのぞいていたさっきの男は、そのまま、街中に消えて行った。
「ザギ…あの男…私の左目に、映らなかった」とキーイーがつぶやいた。
…………
続きます。
では、また🖐
📝🍵