ブレンダー。

 

スキバサミの一種。

 

新種のハサミだと思われている方も多いですが、実は、昔からこのタイプのハサミは日本でもあったんです。人間の美容師さん向けだったから、サイズは5インチや6インチだけでしたけど。

 

で、ブレンダーのメリット・デメリットを聞かれることがあったのでお答えします。

 

デメリットは、ブレンダーを使うとトリミングが簡単になるからといってブレンダーに頼りすぎてしまうと、ストレートシザーでチッピング(毛を揃える)するときの感覚が鈍ります。この感覚というのは人それぞれなので一概に言えませんが、私の場合は、毛に対して刃先をちょっと浮かしたり寝かしたりするときの角度、タッピングの振れ幅とスピードのことです。

 

なんで、そんなことを言えるのかというと、私がその経験者だからです。5~6年前、トリミングの8割をブレンダーで仕上げていましたが、ある日、ブレンダーと相性の良くない毛質のコのトリミングをしました。犬種はプードル。

 

そこで私は、「ブレンダーが使えないなら、普通にストレートで仕上げるか」とハサミをストレートに切り替えてトリミングをすることにしました。しかし、しばらくトリミングを進めていると、焦燥感に苛まれている自分に気がつきました。

 

「面が揃えられない」あせる

「シルエットが全然決まらない」あせる

「ただ時間だけが過ぎていく」あせる

「もうじきお迎えに来ちゃう」あせる

 

プードルの顔のカットにブレンダーを使った時なら7~8分で仕上げられていたのに、そのときは、顔のカットに25分もかかりました(トリマーのあるあるの一種。カットが決まらない無限ループ)。

 

まぁ、怪我もなく追われた絵のでよかったのですが、色々と振り返って反省しました。その時の私は、ブレンダーの「楽」さに慣れ過ぎてしまって、タンポポの白い綿毛ように柔らかい毛に対するシザーワークを忘れてしまっていたのです。でも、すぐにその感覚は戻ってきたので安心しました。本当に、技術って一生の宝物です。

 

あっ!

 

決して、「ブレンダー=邪道」「ブレンダー使うトリマー=技術がない」と言っているわけではないです。ブレンダーは一丁持っていればピンチの時の救世主になります。私は何度も「ブレンダー作って正解だった!」って心の中で叫んだことがありますし、自分の仕事に鳥肌が立つようなシーンもありましたし、「これがなかったら・・・」とブレンダーの重みを味わうシーンもありました。それに、トリミングは、言葉の通じない動く犬にするものですからね。

 

じゃあ、ブレンダーはどんな時に使えば、その効果を発揮させることができるのか?というと・・・

 

続く