@応鐘の実①196「愛執 4」 | 青くんの部屋

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※応鐘の実①195「愛執 3」を読んでからこちらを読みましょう。

 

 

 

 

 

 

 

殺風景な自分の部屋にクチャクチャと信じられない湿った音が響いていた。

時々翔くんが唇をズラすお陰で何とか呼吸が保てる。

 

 

「はぁ…。」

 

 

先程ほど苦しくない。

でも、離れる事はなくって、すぐに張り付いていた。

 

 

『クチャリッ…。』

 

 

やけにいやらしい音を響かせて唇が離れた。

バッ…

えっ…

Tシャツが捲り上げられる。

そのままむき出しになった胸に…

 

 

『ぺちゃー。』

「ひゃっ…。」

 

 

うそっ!

直接舐めてくる。

 

 

『ちゅー。』

「やめっ…。」

 

 

翔くんが体を離して俺を見下ろしていた。

 

 

『俺の話を…聞いてくれるんだったら止めたげる。』

 

 

何いって…

 

 

『聞いてくれないなら、このまま……このまま抱くから…。』

 

 

げっ…

俺は青ざめてまじまじと翔くんを見上げていた。

これが、俺の知ってる翔くんか…?

 

 

『誰にも渡さないからっ。』

「なに言って…。」

『唾つけとく。 

でないと心配で頭がどうにかなりそうだよ。』

 

 

唾…?

心配…?

意味がわからない。

でも…

強気に宣言しておいて、みるみる間に顔が泣き出しそうに歪んでいく。

今にも泪が零れそうだった。

それで俺は諦めたように体の力を抜いた。

 

 

『智くん…。』

「はぁ…。」

 

 

情けない溜息を漏らしていた。

なんで俺がこんな目に合わないといけないんだ。

悪いのは翔くんなのに…

 

 

『ごめん…でも…俺…彼女なんて本当にいないんだ。』

「前に…カラオケで見かけた。」

 

 

努めて冷静に言うと、驚きながらも心あたりがありそうな顔…

 

 

『西山の事…?』

 

 

やっぱりいるんじゃないかっ。

動いて振りほどこうとしたが翔くんがさらに力を強めて拘束してきた。

 

 

「放せっ、

名前なんて知らないよっ。」

『まって……違うっ…付き合てって言われたけど断ったんだ。』

 

 

え…断った…?

驚いて翔くんを見た。

必死な顔…

翔くんは縋り付くような目をしていた。

うっ…

でも、楽しそうだったんだ。

あの時…

それで…

思い出すとやっぱりりムカムカしてくる。

 

 

『信じて…お願い…。』

 

 

かすれた必死な翔くの声…

それを無下になんて出来なかった。

やっぱり俺は翔くんには弱いんだ。

惚れた弱みってやつだ。

 

 

「はぁー…。」

『智くんっ。』

「………わかった。」

『ほんとっ!』

 

 

すぐさま心の底からホッとしたような貌を見せる。

素直というか、現金というか…

ダメだな…

完全には納得できないくせに、必死な様子の翔くんに負けてしまっていた。

 

 

『(*´ε`*)チュッチュþþ。』

「ちょっとまて。」

『何が…?』

「なんでキスするんだよ?」

 

 

精一杯にらみつける。

 

 

『好きだからだよ。 さっき言ったじゃん。 

まさか……聞いてなかったの…?』

 

 

呆れた様子。

そうじゃない。

俺が言いたいのは…

 

 

『(*´ε`*)チュッチュ。』

「止めなさい。」

『なんで…。』

「小さな子どもじゃないんだから、こんな事…。」

 

 

ダメだ。

 

 

『子どもじゃないからでしょ…?』

 

 

何言って…

 

 

『もう子どもじゃないよ。』

 

 

打って変わってよゆーな態度で俺を見下ろしてくる。

こんな乱暴で勝手な事しておいてよく言う。

 

 

『誰かに先越されたらどうしようかと思って、俺、焦っちゃった。』

「…。」

『ねえ…?』

 

 

ニコニコしながら甘えた様な声を出してくる。

 

 

『智くんは…?』

「何が…?」

『とぼけないでよ。

俺に彼女がいると思って怒っていたんでしょ…?

まさかそんな事誤解していたなんて思いもしなかったよ……

あっ!』

 

 

なんだ…?

急に大声を上げるからビックリする。

とうの本人は何かに驚いたように目を見開いていた。

 

 

『そうかっ!』

 

 

何が…?

 

 

『智くんが最近冷たかったのってそのせい…?』

 

 

あ/////っ。

 

 

『俺に彼女がいると思ってヤキモチ焼いてたんだ?』

「ちっ/////違う。」

『やだな(●´ェ`●)ポッそれで泣いてたの…?』

「違うって言ってんだろっ!」

『ふふふ///っ…。』

「何だよっ!」

『へへ/////ぇーっ。』

 

 

ニヤニヤしながらもドヤ顔で俺を見下してくる。

嫌な予感しかない。

 

 

『さっき…あんまり抵抗してなかったね( ̄▽+ ̄*)…?』

「は?」

『嫌だったらもっと殴ったり蹴ったりして抵抗するのに…。』

「抵抗しただろっ。」

『全然甘かったよ。』

 

 

嘘つけっ。

力を加えて来たのはそっちだ。

 

 

『嫌がってなかった。』

「嫌がってたっ!」

『ふふ/////っ…。』

「なんだ…?」

『もー素直じゃないんだから…。』

 

 

どっと疲れが増す。

先ほどまでの出来事が嘘のようにデレデレした様子になってピンクが纏わり付いていた。

 

 

『智くん、俺の事、好きでしょ( ̄▽ ̄)…?』

「…。」

『まあ、聞かなくても知ってたけどね。』

「何、勝手な事言ってんだっ。」

『ふふふ///っ…。』

 

 

俺がそんな翔くんをギロッと睨んでも、お構いなしに直ぐさま顔が近寄っていた。

 

 

『ちゅ…。』

 

 

唇に唇。

うっ…

すぐに離れてニコニコしてる。

 

 

「だから、やめろって

言ってるだろうがっ!」

『あははは…きゃー…こわ/////い。』

 

 

。+.。ヽ(*>∀<*)ノ。.+。キャハッ

翔くんはバカみたいに顔をクシャクシャにしてずっと笑っていた。