智…起きて…
「うーん、誰?」
ニノを助けて…
「ニノが?どうしたの?」
こっちの世界の戻れなくなったから連れ戻して…
「どうやって?」
それはね…
突然目が覚めた。
ここは何処?
真っ暗だ。
少し離れた先にニノが横たわっていた。
え、ニノ?
近寄って行くとニノは静かに眠っていた。
疲れているのか顔色が悪い。
「ニノ、ニノ、起きて!」
反応がない。
「こら、おい、何やってるの起きてよ…。」
全く反応しなかったから仕方ないなぁと思いそのまま横にオイラも寝る。
ふっふっ、添い寝だ。
…。
…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『もう具合も良いようですね。
ゆっくり眠れますよ。』
そう言って出て行こうとするのを引き留められる。
「一緒に寝ようよ、いいでしょ?」
『添い寝する理由もありませんから。』
するとサトはワザとらしく咳をしだした。
ゴホッ、ゴホッ、ガハッ。
「苦しいから背中をさすってよ。」
呆れた。
しょうが無いなぁ、なんて言いながら同じ布団に潜り込む。
サトは結構わがままで頑固な処があった。
自分の世界から私を締め出すくせに好きな時に甘えてくる。
そして、とても可愛くて優しい。
『じっとして。』
言う通りにじっと待っていると首飾りが掛けられた。
それは黄色い守り石。
「返しておくね。」
返す?
どういう事?
でもサトはニコニコと笑うだけだった。
「はやく、もう寝るよ。」
『…分かりました。』
可愛くてとても好きな人。
とても愛してる人。
貴方が誰と愛し合っても幸せならそれでいい。
私の願いは、ただ、貴方が元気で生きていてくれる事。
そして私はずうっとそばにいる。
貴方が嫌だと言っても貴方のそばを離れない。
そこが…
そこだけが私が安心して生きていける場所だから…
貴方が醜い世界から私を連れ出してくれた。
光りに溢れた暖かい世界。
幸福のい処。
『だからずっとそばにいたい。』
貴方を失たら、きっと生きていけないから。
「いいよ、分かったから、もういい加減、出てきてよ。」
『え…?』
「そこにずっといられたら迷惑だから。
皆が呼んでて待ちくたびれてるの…聞こえない?」
そう言えば…
遠くで誰かがすすり泣いている様な…
あれは誰だ?
知ってる声が聞こえる?
目を開くと大野さんとユウがいた。
ここは何処?
薄暗くて周りのものが良く見えない…
「わかったから、ちょっとこっち来て。」
『大野さん?』
伸ばされた手を取ると、思い切り引っ張られた。
だから、こけそうな位つんのめった。
そして…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
目の前に眩しい光りが広がる…
「ニノ!」
本当に目を開くと相葉さんが叫びながら覗きこんでいた。
さっきのすすり泣きはあんたか…
一体?
身動きがとれない。
それもそのはず。
口には酸素マスク、腕には管が伸びていた。
躰は鉛のように動かない。
ここは病院か…
「ニノ、俺が分かる?」
泣きながら何を言っているのか、まわりにはきっと分からなかっただろうけど、俺には分かった。
だから、頷いてやった。
すると、大きい図体で、ワアワアと本格的に泣きだした。
うるさいよ。
全く…
背中越しにベッドが見えた。
貴方がゆっくり起き上がってこちらを向くのが分かった。
起き上がろうとしているから俺のそばへ来るはずだ。
その確かに生きている姿を確認して俺は眠りについた。