ある少年が不老不死という言葉を聴いて考え事をしていた。
不老不死とは老いない死なない体だ。すると脳死も老死も餓死も溺死も出血死も感電死も焼死も凍死も轢死も圧死も中毒死も病死もしない。心臓を銃で撃ち抜かれても再生する。臓器を失ったら再生する。息継ぎなしで海の中で活動できる。火山の中でも活動できる。10階建ての建物から落ちても大丈夫だ。死んでも元通りに生き返る。どのような状態になっても死なない体が不死の体だ。それでも人と同じ容姿を持っている点が重要だ。
実際に、そのような不老不死の体を持つために人の体をどのように変化させたらよいだろうか。小説に登場する魔法の力によって、人体の仕組みを変えずに不老不死になるのは不可能だ。すると、不老不死になるためには、体細胞の仕組みから変化させる必要がある。すると、人が不老不死になった体は人の姿を保てないかもしれない。人体改造によって誕生した不老不死の人はすでに人ではないと言ってよいだろう。
現実に可能なのは老死しない体だ。人の体を老化しない体に仕組みを変えればよい。そのためにどのような原因で老化するかを理解する。その上で老化をとめるような技術を確立できれば可能かもしれない。すると、見た目は人の体にしか見えないはずだ。ただし、老化しない人を人だと呼べるだろうか。それでも老衰して死ぬよりはましかもしれない。
この少年は不老不死に憧れを抱いた。科学技術で不老不死になれば、大切な人が死ななくてもよい。危険な行動をしても死ぬことはない。永遠に好きな空想を楽しめるはずだ。
注意:作り話より。
◆解説
人は死を恐れて生に執着する限り不老不死になる方法を求めるだろう。
不老不死は、人が様々な原因で死ぬ脆い体だから、死なない体を想像して誕生した象徴だ。人は永遠に存在し続けると思えるような対象に憧れた。その憧れから死なない体に人が憧れを抱いて、人が不老不死という概念を作った。その不老不死への願望は死を避けたいと思う人の願望だ。その願望は人の死を恐れて生に執着する行為だ。人が脆い体を持つ特徴を嘆くたびに、死なない可能性を模索する。そして、人は不老不死を夢想する。
さらに、空想上の魔法のような力や道具で不老不死を実現できると想像した。物語に登場する空想上の魔法はどのような願望も可能にできると誘惑する。魔法で人の形を保ったまま不老不死に変化できると期待できるかもしれない。しかし、この世界に魔法は存在しない。この世界に魔法が存在する仕組みはないからだ。これから先も小説や漫画のように人が魔法を使えるようにはならないだろう。ただし、どのような妄想を抱いても自由だ。
しかし、科学技術では人の体を維持したまま不老不死を実現するのは不可能だろう。例えば、心臓を破壊されても再生する心臓を作るのは不可能だ。致死量の出血をしても不足する血液を作る体を作るのも不可能だ。火傷をしない体を作るのも不可能だ。栄養を摂取しないで生命活動を維持できる体を作るのも不可能だ。中毒死しない体を作るのも不可能だ。つまり、人の体を不老不死に改造できたとしても、人ではなくなるだろう。
したがって、科学技術で求めるのは人の容姿を保ったまま老化しない体を作れるかという問題だ。人体を不死に変えるのは不可能だ。そこで人は人体を老化しない体に変化させるのは可能ではないかと期待する。老化する体の仕組みを変えればよいと推測するからだ。ただし、老化しない体を得た人は人ではないかもしれない。それでも人は容姿が人であれば老化しない生き物を人と同じように扱えばよい。老化しない体を渇望すればよい。
人はどのような不老不死を可能にする技術を切望したらよいだろうか。
希記より。