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希記の迷々思考実験室

自分の問いへの答えを求めて想像を広げよう。

 ある国では国民が四つの義務を負う。教育の義務と勤労の義務と納税の義務までは日本と同じだ。さらに研究者に協力する義務を負う。心理学や医学などの学問における研究の発展のために国民が協力するべきだとみなされた。

 

 国民に協力を要請する研究者は国に登録した研究者に限られる。被験者は抽選で選ばれたり、指名されたり様々だ。また、研究の内容によっては賃金が支払われる。被験者に選ばれた国民は特別な理由がない限り、研究の要請を断れない。

 

 今回も研究のために被験者として付き合っている100組の男女が選ばれた。その研究内容は好きな人同士が接触したときの体の状態変化だ。科学によって恋愛をアプローチする研究だ。もちろん好きではない同士の研究データも必要だ。

 

 男性と女性が同じ空間に一時間接触する。男性は被験者の女性とハグしたり、キスしたりする必要があった。もちろん男性とも同じ実験をした。男性は「ドキドキしたけど、恋人も参加しているために不安になった」と男性の証言を得た。また、女性は「不細工な男性と実験したくない」と愚痴を言った。様々な実験が一か月以上かけて行われた。

 

 その研究を見学した日本の研究者は羨ましそうに実験を見ていた。日本でも研究者に協力する義務を導入したいと思っていても無理そうだった。被験者が嫌がるような実験でも協力者を国の要請によって得られるのは便利だが、拒絶されるだろう。

 

 はたして、私たちの国で研究者に協力する義務は必要か。

注意:作り話より。

 

◆解説

 

 研究者に協力する義務を導入されたら研究者は喜ぶだろう。

 

 まず、国民は知識を増やすために研究者の研究に協力するべきだ。研究者は自分の好奇心を満たすために研究するだけではない。多くの人の理解を深めるために研究対象を観察して研究する。もし、心理学や医学のような学問なら、研究対象となる人に研究の協力が必要だろう。さらに、技術の発展にも役に立つだろう。それによって研究が人々のために役に立つ。つまり、国民のために理解を深める研究のためならば国民が協力するべきだ。

 

 すると、研究者に協力する義務があれば研究が行いやすくなって研究が発展するだろう。研究者に協力する義務があれば、国民に容易に協力要請できる。人を不快にさせる研究も長期間に拘束する研究も可能だ。副作用がでるおそれがある薬学の研究も、国の協力の下できる。すると、今まで協力者を募るのが難しかった研究もできるだろう。それによって研究が発展する。研究に協力する被験者を用意できれば発展する研究もあるだろう。

 

 しかし、実際は国が研究に必要な実験を国民に強要することはできない。被験者に不利益をもたらしたり、大きな負担を強いたりする研究もあるだろう。そのような人が嫌がる研究だから被験者としての協力を国民にお願いしたい。そのために国が義務として研究の協力を強要すれば国民の生活を束縛する。また、仕事や生活のために実験に協力する余裕のない人もいる。すると、研究の協力は個人の自由な意思によって行うべきだ。

 

 したがって、研究者は研究に協力する義務を国民が認めることを渇望するだろう。多くの人が研究に協力すれば、より多くの研究データが集まる。すると、より研究内容を理解できるし、裏付ける資料も増えるだろう。そのためには多くの協力者が必要だ。容易に協力者を募る方法があれば助かる。多くの人々の知識を見出すための研究だと理解してほしい。その上で研究への協力を強要できないけれど、協力する意志を持ってほしい。

 

国民の負担を強いてでも研究者による知識の生産を優先したほうがよいだろうか。

希記より。