ツルシギ 鶴鷸
英名:Tringa erythropus
学名:Spotted Redshank
チドリ目シギ科クサシギ属
生息地:ユーラシア大陸の寒帯や北極圏で繁殖し、アフリカ大陸中部、地中海沿岸、中近東、インド、東南アジアなどで越冬する。日本では春と秋の渡りの途中で立ち寄る旅鳥。
全長:32cm
鳴き声:ピュイッ、ピュイッ
雌雄:雌雄同色
環境省レッドリスト2020 絶滅危惧Ⅱ類
夏と冬で姿を変える鳥は少なくないが、このツルシギほど鮮やかな変わり身を見せる鳥は珍しいのではなかろうか。しかも、夏羽、冬羽、どちらも甲乙つけがたい美しさなのだ。
冬羽のツルシギ。秋に見られることが多い
冬羽のツルシギはアカアシシギに似ているが、見間違うことはないと思う。アカアシシギも美しい鳥だが、足の長さ、スタイルの良さはツルシギが上。鶴にも負けない気高さといったら、ほめすぎだろうか。
アカアシシギ。ツルシギと比べると、足も嘴も短い
残念なのは、かつて田園の春の風物詩だった真っ黒なツルシギの姿が、めったに見られなくなってしまったことだ。繁殖地の問題なのか、日本のハス田や干潟が減ってしまったためなのか。
おそらく、日本に立ち寄る数が減少している理由はいくつもあり、保護することは簡単ではないのだろう。しかし、シックな冬羽と、ちょっぴりユーモラスな黒い姿の夏羽、2つの美しさを持つツルシギが日本から消えてしまう未来は、想像すらしたくない。
奥が夏羽、手前は夏羽に換わりかけのツルシギ
【参考文献】
街・野山・水辺で見かける「野鳥図鑑」(日本文芸社)