シジュウカラガン 四十雀雁

英名:Cackling Goose

学名:Branta hutchinsii

カモ目カモ科コクガン属

生息地:アリューシャン列島で繁殖し北アメリカの西海岸で越冬するものと、千島列島で繁殖し日本で越冬するものがいる。

全長:60cm

鳴き声:キャハン キャハン

雌雄:雌雄同色

絶滅危惧ⅠA類(環境省レッドリスト2020)

 

シジュウカラガンは20世紀の初めに、繁殖地である島々に毛皮を獲る目的でキツネが放たれたため生息数が激減、一時は絶滅の危機に瀕したという。

 

見た目も動きも愛らしいシジュウカラガン。復活に携わった関係者の皆さんに、まずは感謝!

 

しかし近年は見事に復活を遂げ、秋田県の八郎潟、宮城県の伊豆沼、蕪栗沼などで、5,000羽ほどが越冬するようになっている。

 

田んぼに降りてきたシジュウカラガンの群れ

 

シジュウカラガンが復活したのは、「日本雁を保護する会」と仙台市の八木山動物公園、そしてロシア科学アカデミーが、八木山動物園で繁殖させたシジュウカラガンを千島列島のエカルマ島で放鳥するなどの保護活動を、1980年から40年以上に渡りつづけてきた成果だ。

 

 

ちなみにシジュウカラガンはカナダガンの亜種とされてきたが、2004年以降は別種とされている。カナダガンはかつて山梨県の河口湖や茨城県の牛久沼などに定住していた籠脱け鳥。稲などを食べてしまう農業被害や、シジュウカラガンとの交雑の危険があるなどの理由から、問題を引き起こす特定外来生物に指定され、野生化したものはすべて捕獲されている。

 

 

見た目はそっくりなシジュウカラガンとカナダガン。運命のいたずらか、一方は絶滅の危機から復活を遂げ、もう一方は日本の自然界から姿を消したのである。

 

 

【参考文献】

街・野山・水辺で見かける「野鳥図鑑」(日本文芸社)、山渓名前図鑑「野鳥の名前」(山と渓谷社)