コマドリ 駒鳥

英名:Japanese Robin

学名:Luscinia akahige

スズメ目ヒタキ科ノゴマ属

生息地:中国南部、日本、樺太南部、南千島。夏季に日本やサハリン、南千島で繁殖し、中国南部で越冬する。

全長:14cm

鳴き声:ヒン カラカラカラ(さえずり)。ツツッ、ツツッ(地鳴き)

雌雄:雌は雄よりもくすんだ色合い

タネコマドリは、絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト)

 

バーダーにとってのゴールデンウィークは、“夏鳥到来週間”ではないだろうか。その象徴ともいえるのが、このコマドリである。

 

高らかにさえずる、コマドリの雄

 

コマドリ(駒鳥)の名前の由来ともなった「ヒン カラカラカラ」の声を聞きたくて、4月の初めころから天気予報とにらめっこ、そんなバーダーも多いと思う。

 

 

コマドリの学名はLuscinia akahige(ルスキニア・アカヒゲ)。ルスキニアはウグイスの仲間、ナイチンゲール(小夜啼鳥)を意味するラテン語で、アカヒゲは南西諸島などで暮らす日本の固有種。なぜ学名がアカヒゲ?

 

アカヒゲの雄

 

では、アカヒゲの学名はと調べてみると、Larvivora komadori(ラルビボラ・コマドリ)。ラルビボラはヒタキ科に属する鳥の属称なので問題ないが、そのあとにコマドリと付けられているではないか!

 

 

なぜ、2つの鳥の学名は入れ替わってしまったのか? その答えはコマドリとアカヒゲ、2種類の鳥に学名をつけた18〜19世紀のオランダの動物学者、コンラート・ヤーコプ・テミンクが、その著作「新編彩色鳥類図譜」(山階鳥研所蔵)に誤って記載してしまったからだという(山階鳥類研究所広報ブログ)。

 

タネコマドリ。伊豆諸島、屋久島などに生息する日本固有種

 

タネコマドリの名前の由来となった種子島では近年、生息が確認されていないという

 

コマドリとアカヒゲは、専門家が間違えてしまうほど近い種類であり鳴き声も似ている。そしてどちらも、雄が高らかにさえずるのは、4月の繁殖期を迎えてから。2種の鳥のさえずりを聞き比べる、そんな贅沢なゴールデンウィークを迎えられれば最高なのだが、天気予報は……。

 

 

天気予報とにらめっこする日々は、まだまだ続きそうである。

 

【参考文献】

街・野山・水辺で見かける「野鳥図鑑」(日本文芸社)、山階鳥類研究所広報ブログ