令和6年1月3日(水)10:15〜、あきた芸術村小劇場にて。


脚本/鈴木潤子
演出/栗城宏
音楽/渡部絢也
振付/三森渚
美術/高橋知佐
照明/三重野美由紀
音響/佐藤亜希子
衣装/市橋幸恵
小道具/平野忍
舞台監督/仁しずか
演出助手/飯野裕子
音楽助手/上平美咲
振付助手/丸山有子
宣伝イラスト/遠田志帆
助成/文化庁文化芸術振興費補助金

キャスト/
たつ子:平野つくし
難蔵・ハチ:執行巧真 (扉座ユース)
マオ:佐々木亜美
八重比丘尼 他:白井晴菜

あらすじ/
湖のほとりの村に住む美しい娘たつ子はある日、若き修行僧の難蔵、盗人でウソつきな娘マオと出会い、3人寄せ集めのデコボコチームを結成!目的はなんと、永遠の命を持つという“龍神”を探す旅。森の中ではナメクジ、大蛇、コウモリと次々に襲われるも、難蔵の知恵やマオの機転で立ち向かう!そんな中、村には大きな危険が迫っていた。なぜたつ子は龍神を探すのか?たつ子が多くを語らない“ハチの秘密”とは、いったい?

公式サイトより)






秋田県には、3つの湖(八郎潟・十和田湖・田沢湖)にまつわる龍神の伝説があるそうだ。


美の国あきたネット


県の北端・西側・東側と秋田県を股にかけた壮大な伝説はどうして生まれたのか。


もしかしたら、その答えかもしれないのがこのミュージカル『新解釈・三湖伝説』だ。


村の娘 たつ子と旅の修行僧 難蔵、そして泥棒として捕えられていたマオの3人の若者が出会い、龍神を探す旅に出る。


同じく龍神を探す八重比丘尼と出会ったり、さまざまな困難を乗り越えたりしつつ旅を伝える3人がある湖のほとりの村で最大の困難に直面し、そして決断する。


そんなはずはないのかもしれないけど、でももしかしたらあったかもしれない……と思わせるのは、その底にあるのが人を思う気持ちだからだろう。


脚本は、昨年の冬の小劇場公演から2024年のツアー作品となる『青春(アオハル)するべ!〜由利高校民謡部ストーリー〜』と同じ、鈴木潤子さん。


多くの舞台で主演やヒロインを演じる女優さんだが、『青春するべ!』でも今作でも若者たちの迷いや葛藤を生き生きと描いて、脚本家としても今後の活躍に期待が高まる。


演出は、わらび座を代表する演出家 栗城宏さん。スケールの大きい物語を少人数で成立させる工夫などもさすがだった。


楽曲のよさや振付の魅力が物語を牽引し、美術、照明、音響、衣装、小道具なども大劇場での公演に引けを取らない完成度だ。


そして何より、舞台中を駆け抜ける若々しいキャスト陣の熱演が胸を打った。


ここからは、カーテンコールでの撮影可能タイムや物販の際に撮らせていただいたお写真を添えて。



村の娘 たつ子を演じる平野つくしさん。


人を思う気持ちの切実さを懸命に演じる姿に胸を打たれた。どこかおおらかな持ち味が、役柄に人間味を増していたように思う。



生真面目な修行僧 難蔵ともうひとつ重要な役柄を丁寧に演じ分けた客演の執行巧真さん。


扉座公演や藤田直美企画などでも拝見していたが、演技だけでなくミュージカルでの歌唱やダンスも頼もしく、『ドリル魂』上演への期待が高まった。



健気なヒロインなどの印象が強い佐々木亜美さんは盗人で嘘つき(!)のマオを演じる。


これまでと印象の違う役を躍動的に演じる姿やいつもながら見事な歌声に惹きつけられた。



白井晴菜さんは、3人と対立する立場となる八重比丘尼をはじめ、多くの役で忙しく活躍されていた。


全部で何役だったか数えられなかったが、どの場面でも安定感のある演技で物語を支えた。



人が人を思う気持ちをベースに、「真実」と「嘘」への考察などを含めて、若者たちが龍神を探す旅を描くこの舞台は、3月24日まで上演とのこと。その間にできたらまた観に来たいと思っている。



関連企画として開催されている謎解きアドベンチャーやポストカードなどもついつい購入。



わらび劇場とはまた違う靴を脱いで上がる小劇場ならではの面白さがある、と思った。