令和2年6月13日(土)18:00〜、下北沢ザ・スズナリにて。

作/福田転球
演出/長塚圭史
音楽/山内圭哉
出演/
福田転球、大堀こういち、長塚圭史、山内圭哉


概要/
 「じゃあ転球さん、新作書いてください」「はいッ」
新ロイヤル大衆舎立ち上げは『王将』ではなく福田転球の新作を上演予定だった??
ここは瀬戸内海の小さな島
なんとニカラグアの重量挙げ選手が事前合宿のためやって来ることに!
歓迎式典のため日々繰り広げられる会議また会議
のんびりとした島がのんびりと熱狂に包まれていく!?
福田転球が描くオリンピックを夢見る一夜(約75分)
(公式サイトより)


入口に消毒薬。受付に検温機。会場に入るとまばらに置かれた椅子が目に入る。

ことの起こりは前日の朝、LINEで届いたひとつのお誘いだった。新ロイヤル大衆舎の追加公演を観に行くんだけど、慣れないチケットシステムで間違って2回登録してしまい、2枚取れちゃったんだけど、もしかして観に行ったりしない?

自粛後初観劇は、県境を越えての移動が解禁になる6/19以降にする予定だった。でも、久しぶりに友人と会えると思うとつい「行く!」と返信してしまった。

新ロイヤル大衆舎といえば、下北沢劇場の楽園での旗揚げ公演のチケット激戦具合は観劇仲間の間で語り草となった人気ユニットだ。

それを、あのスズナリに観客はたったの35名。ゼイタク極まりない上演である。

予定していた公演を感染症の流行により延期とし、代わりに『緊急事態軽演劇八夜』と銘打って古今の名作や怪作を日替わりで読み語りする企画で、客席には少数の観客を入れ、毎日動画配信も行う。

オリンピックの海外選手団が事前合宿を行うことになったのは、瀬戸内に浮かぶ小さな島。選手団の歓迎セレモニーを決める、ゆる〜い話し合いやセレモニー当日の顛末を描く新作を拝見した。

まだどの劇場も恐る恐る動き出そうとし始めたばかりで、上演する側の試行錯誤感や観客側の緊張も感じられた。舞台と客席、そしてキャスト同士もアクリル板で隔てられていた。

それでも手練れの役者さんたちが投げかける言葉に客席が反応し、感情の行き来が感じられる生の舞台の醍醐味があった。

どちらかといえば、配信を主体にした企画だったかもしれない。そんな中で、この回は追加公演だったため配信が行われておらず、心なしかキャストがのびのびなさっている気がした。

観終わって精一杯の観客が拍手をする。その音が俳優に伝わっているのを感じる。

ああ、やっぱり生の舞台はいいなぁ、とシンプルに思った。

誘ってくれた友だちに感謝。