令和2年1月11日(土)9:30〜、赤坂Corus by hacocoroにて。
作・演出/中島庸介
オフィス上の空プロデュース笑う、夜の果てに
出演/
藍澤慶子
野口オリジナル
石塚みづき
やまうちせりな
井上麗夢
東直樹
日替わりゲスト:潮みか(悪い芝居)
ものがたり/
終わらせて 朝が来る
朝になる前、まだ外は暗い。
とある会場に集まった6人。
6人がお揃いの服を着ていて、それには《エスパーカズキ》と書いてある。
女が、「私は今日、この《集い》を終わらせに来たんです・・!」と言うと、物語は勢いよく転がりだす。
夜が終わって、それから朝になるまで・・
6人はどこへ向かってゆくのか・・
(公式サイトより)
無事に起きられたし、予定の電車に乗れたし、しかも初めての会場に迷わずたどり着けた。(私にしては)上出来である。
建物入口のかたわらにタイトルと本日の出演者が表示してあった。
あわててスマホ撮影を無音にできるアプリをダウンロードする。
土曜の朝まだ10:30くらいの時間に、「いってらっしゃい」の言葉に送られて会場を出る。いつもの少し違う週末の始まり。
会場に入ってみると、周囲の壁に沿って椅子とテーブル、カウンターなどがある飲食店風の空間であった。自由席ということで、コレどこへ座るべきかしら?
一方の端に小ぶりのステージめいたスペースもあるけれど、聞いてみると芝居は会場全体を使うのだという。そういうことならどこで観てもそれぞれに面白そうな気がする。悩んだ末に会場中程の椅子に陣取る。
上演される時間帯や場所だけでなく、自分の見慣れている舞台と少し違う点もいくつかあるようだ。
スタッフの方々上演前に注意事項をアナウンスしてくださった。
※ 朝劇ルール ※
◆持ち込み・飲食OK
◆劇中のスマホ撮影OK(フラッシュはOFFに、シャッター音は必ず無音に設定してください)
◆撮影した写真のSNS公開OK(写り込んだ他のお客様の顔はモザイクなど判らないように加工ください。)
なのに!
いざ始まって写真を撮るとき、うっかりして1枚シャッター音ありのまま撮影してしまい(ホントごめんなさい)、あわててアプリを切り替える。
さて。
揃いのパーカーを着た数人の男女が集まってくる。パーカーには「エスパーカズキ」の文字。
彼らはどうやらエスパーカズキという人物の熱心なファン(というかカズキに救われたことのある人々)で、毎年恒例でエスパーカズキの生まれた日時に集まり、カズキの生誕を祝う儀式めいたことを行なっているらしい。
不思議な力を持ちテレビ等でも活躍していたカズキは、しかしこの数年姿を表さない。それゆえ集まる人数も減るばかりだ。
ところが今年、見慣れない女性が集まりにやってきて……。
手の触れられる距離で演じられる物語は、その女性の動機、グループ内での疑惑、エスパーカズキの現状など、さまざまな謎を含みながら進んでいく。
臨場感と同時に、誰かの熱心なファンであることの滑稽さや切実さ、そして相手が生身の人間であることの難しさなどが他人事でなく身に染みたりもする。
日替わりゲストの役柄を見て(なるほど)と思う。ゲストが変わると観終わったときの印象も変わるだろう。
劇中の時間が朝を迎え、物語は終わりを迎える。
いい時間だった。いずれまた観に来たいと思いつつ、土曜日の街へ歩き出した。