令和元年12月29日(日)15:00〜、OFF・OFFシアターにて。

作・演出/櫻井智也
舞台監督/金安凌平
舞台美術/袴田長武
照明/久保田つばさ
音響/葵能人(ノアノオモチャバコ)
宣伝美術/これでよしお
撮影/保坂萌
制作/MCR
当日運営/松本悠(青春事情)
製作/MCR

出演/
櫻井智也
おがわじゅんや
北島広貴

たなか沙織
澤唯(サマカト)
堀靖明
小西耕一(Straw&Berry)
加賀美秀明(青春事情)
園田裕樹
加藤美佐江
伊達香苗

Introduction/
「お前が自分でどうにかできることが世の中に幾つあるんだよ?」

どうしようもない男が三人、一つの部屋で暮らしています。それぞれがそれぞれ、腐りきった腐れ縁を、時に愛でつつ、時に足蹴にしながら毎日を過ごしています。
ある日、三人のうちのバンドをやりたがっている男(賽銭泥棒)が酔っ払ってお地蔵さんをアパートに持ってきます。
お地蔵さんはその男に対して、罰というか特権というか、そういうものを与えます。
そんな、いつの間にか「意識が朦朧としながらも悪態だけは抜け落ちない」人間になってしまった人たちの、右も左も分かってるけど自分がどこにいるのかは分からなかったりする情景を、愉快な罵詈雑言で綴る、ありそうで、なさそうで、でも、ここにしかないお話です。
(公式サイトより)


MCRの作品はどうしてこんなに刺さるんだろう。

ロクでもない奴らばかり出てくるのに他人事とは思えなくて、自分の弱いところにヤスリでもかけられたようにヒリヒリする。

そのくせそいつらが馬鹿みたいに愛おしくなってしまう。

特に、あんな役を書いてご自身で演じる櫻井さんなんて、もうズルいにもほどがある。


家賃3万円のポロアパートをルームシェアする3人の男。

酔って持ってきてしまったお地蔵さまの天罰(あるいは御利益)で記憶や感覚をお金に換えることができるようになったトモを中心に、会社の後輩に横領や盗撮などの罪を押し付けられているヒロ、コンビニバイトしつつ彼らと同居するジュンヤ、空き部屋に女を連れ込む大家の息子、強引に家賃を値切らせろうとする隣人の女やその連れの男、マンション営業に回ってくる不動産屋、トモの弟など、どいつもこいつも本当にどうしようもないヤツらなのに、なぜか憎めない。

トモが記憶や感覚をお地蔵さんに売り渡すその金額と彼にとってのさまざまな重さ。身を削りつつ、手放すことと手放さないことを選び取っていく。

この芝居を観て感じる痛みは一体なんなんだろう。わからないままむやみに身に染みる。


ジュンヤの恋人さおりを演じるたなか沙織さん。登場人物の中でほぼ唯一真っ当な(!?)社会人。ジュンヤのことが大好きで、ロクでもないルームメイトたちには厳しいことも言うけれど、その言葉のうちから心根の優しさがにじみ出て素敵だった。