平成25年2月11日(月・祝)15:00~、羽村市生涯学習センターゆとろぎ大ホールにて。

原案/手塚治虫
脚本・演出/横内謙介
作曲/甲斐正人
振付/ラッキィ池田、彩木エリ

出演/
トキオ:三重野葵
マリア:鈴木潤子
アズリ:村井成仁
 
神楽坂町子:遠藤浩子
スーラ:岡村雄三

ダッタン:長掛憲司

タケ:瀧田和彦
エミ:菅野真以

チルチル/クロキ:柴田雄
ウメ:角田紀子
シアン:逢沢優
チータン:神谷あすみ
ヘレン:駒野谷咲子
 
2010年春に幕を上げたこの『アトム』。
何度も書いているとおり、まもなくファイナルを迎えます。
 
そう思うだけでなんだか涙がこぼれそうになるくらい、この作品にハマりました。
1月の演劇鑑賞会公演では最後の方しか観られなかったので、
ちゃんと観るのは昨年10月の一関公演以来となるはず。
 
都内の某所で、いつもお世話になっているTさんと、
よく一緒にわらび座公演を観に行くPさんと合流し、
お昼を食べてから会場に向かいます。
 
会場に着いたのは、13時半くらい。
開演までまだ1時間以上あります。
 
が、すでに入場待ちで並んでいる方が!
そうなんです。本日の公演は自由席。
観やすい席を確保するため、自分たちもとりあえずそのまま並びました。
 
待つこと約1時間。開場の時刻となり、急いで会場に入り、前方の席を確保します。
 
開演前に、主催のひとふさの会会長さんのご挨拶があり、
それからいつものアナウンス「ひったくり、置き引きにご注意ください」が流れると。
 
サイレンとサーチライト、そして会場通路を走りぬける人影。
ステージに駆け上がるタケとエミ。
 
こき使われていた工場を逃げ出し、
ついでに金まで盗んできたため追われている二人の前に、現れるスーツ姿の女性ヘレン。
 
立派な職場で働いている彼女ですが、タケとエミに乱暴な扱いを受けます。
それに逆らうこともできないのは、彼女がロボットだから。
 
そういう人間とロボットの関係から、物語は始まります。
 
場面が変わり、ロボットたちのパーティ。
この日、主演のトキオを演じるのは、初年度キャストだった三重野葵さんです。
 
2011年1月に拝見して以来なので、およそ2年ぶりの三重野トキオは、
当時以上にパワフルかつ純粋で、その表情の鮮やかさに目が釘付けになってしまいます。
 
ロボットたちのパーティに紛れ込んできた人間たち。
抑圧されていた彼らの思いに、ロボットたちもいっそう盛り上がります。
 
マリアの怪我の手当てをするアズリ。
そのアズリをじっと眼で追うマリアのひたむきな表情がせつないです。
 
神楽坂邸の前。家政婦ウメちゃんと神楽坂先生がトキオの帰りを待っています。
神楽坂家の犬の名前も、今日は久しぶりに“がおう”です。
 
トキオの情熱を認め、応援する神楽坂先生。
驚きつつ喜ぶトキオと、ついついつられて踊ってしまうウメちゃん。
いつ観ても楽しい場面です。
 
街の倉庫では、マリアに片思いしているタケが、彼女に乱暴しようとしています。
最初は、両思いだと勘違いして彼女を抱き寄せようとするタケですが、
拒絶されると、チカラづくで押し倒そうとするのです。
 
そこへ現れるアズリ。
チカラでは敵わないながら必死でマリアを守ろうとする彼に、タケが乱暴を振るいます。
マリアの精一杯の反撃にタケが逃げ出します。
 
マリアが家に帰るよう説得するアズリ。
「キミは人間なのに……」という言葉がいつも以上に強く響いていた気がします。
差し伸べる手と手。二人の歌声が重なる美しい場面です。
 
けれど、その直後に悲劇が訪れるのです。
 
マリアを連れ戻しに来たクロキ。
アズリの腕をつかんで倒し、黒い革手袋をした両手をパンパンと払うしぐさが冷酷に見えて、
次の場面でまたチルチルとして登場すると、そのギャップに改めて驚きます。
 
アズリの死に憤るロボットたち。
いつもの目覚まし時計が鳴って解散する時間が訪れると、仲間たちが口々に尋ねます。
「どうする?どうする、トキオ?」
 
でも大切な相棒を失ったトキオには、答えるすべがありません。
その様子に付け込むように、ドクタースーラが人間への復讐を歌い、アトムの復活を提案します。
 
神楽坂邸でのやり取り。
怒りに駆られたロボットたち。うらみを抱いたスーラ。
神楽坂先生の言葉に変化するトキオの表情。トキオと先生の歌声が力強く響きます。
 
ロボットたちの復讐を止めるために走るトキオ。
「心を伝える五重奏」の迫力ある歌声が緊張感を高めます。
マリア・エミ・ロボットたち・トキオ・神楽坂博士。
それぞれの想いがひたひたと広がっていくようです。
 
スーラとトキオのやりとり。
そして、トキオとマリアの歌声に、ロボットたちが武器を置いて歌い始めて。
 
ダッタンの男気と悲劇。
歌い続けてくれとトキオに頼む場面では、何度観ても涙が出てしまいます。
 
ラストシーンからカーテンコールへ。
『ジェット噴射で飛ぶように』のメロディに合わせて、会場中に手拍子が響きわたります。
 
美しい舞台でした。
ひとつひとつの場面がますます鮮やかで、それぞれの登場人物の表情が印象に残っています。
こういうの観ちゃうと、もうすぐ終わりだというのがますます残念な気がしてしまいます。
 
この日もお見送りがあって、キャストのほとんどが出てきてくださっていました。
何人かの方はタイミングを逃してしまいましたが、
それでも、たくさんの方にお写真を撮らせていただきました。ありがとうございました。
 
 
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写真を撮らせてください、と言ったら、怖い顔したほうがいいかな?と言いつつ、
でも、笑っちゃうんだよなぁwとおっしゃるダッタン役の長掛さん。
力持ちで心優しいダッタン役がよくお似合いだと思います。
 
 
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通訳ロボットのヘレンを演じる駒野谷さん。
新宿では、新キャラクターのロボットあんこを演じるとのこと。そちらも楽しみです。
 
 
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アズリ役の村井さん。優しいだけでなく、凛とした知的な雰囲気です。
星空をバックに歌う場面の歌声は、トキオとマリアだけでなく観客にも勇気を与えてくれる気がします。
 
 
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マリア役の鈴木さん。チャーミングな笑顔です。
少女らしいひたむきさが印象的なマリアです。
4月からは坊っちゃん劇場にご出演とのこと。『げんない』、観に行きますね~♪
 
 
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チルチルとクロキを演じる柴田さんも素敵な笑顔です。
ちゃんと拝見できたのは今回が初めて。
可愛らしいチルチルと冷たい雰囲気のクロキのギャップが印象的でした。
 
 
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エミ役の菅野さんとウメちゃん役の角田さん。
マリアの想いにエミの心が変わっていく場面では、今回も涙が出てきてしまいました。
スーラやロボットたちから神楽坂先生をかばおうとするウメちゃんの真剣な表情も切ないです。
 
 
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タケを演じる瀧田さん。
考えてみたら、岡村さんの次に長くチームアトムにいらっしゃるのではないでしょうか?
ファイナルでチルチルを演じた後は、坊っちゃん劇場にご出演となるようです。
 
 
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チータン役の神谷さん。素敵なポーズをありがとうございます♪
パーティの終わりにアズリとハグ……と思ったら、アズリがチータンを抱き上げていました。
チータンがいっそう幼く少年らしく、可愛らしく見えました。
 
 
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すでにこの作品の顔とも言えるドクタースーラ役の岡村さん。
今回も素晴らしい迫力ある歌声で、ロボットたちを扇動していました。
 
 
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トキオを演じた三重野さん。ダブルピースが懐かしいです(*^^*)
元気でまっすぐなトキオを、汗だくで熱演なさっていました。
前日拝見したばかりの『おもひで……』のトシオさんとまただいぶ雰囲気が違います。
 
 
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レアなツーショットなのにピンボケになってしまいました。ごめんなさいm(__)m
でも、ボツにするにはもったいない(?)ので載せちゃいました。どうぞ大目に見てください。
 
 
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ホールのロビーに飾られたロボットは、
地元の子どもさんたちが一生懸命作ったものだそうです。
実行委員会形式の公演で、手作り感あふれる温かい雰囲気となっていました。
 
楽しい時間を過ごさせていただきました。
お目にかかれた皆様、本当にありがとうございました。