平成29年9月3日(日)13:45〜、わらび劇場にて。
作・作詞・演出/横内謙介
作曲/深沢桂子
編曲/前嶋康明
振付/ラッキィ池田・彩木エリ
美術/金井勇一郎
照明/塚本悟
音響/福地達朗
衣装/樋口藍
ヘアメイク/馮啓孝
小道具/平野忍
舞台監督/仁しづか
演出助手/安達真理
音楽助手/わたなべのぶこ
出演/
リウタ:松本旭平(エルビス・エンタテインメント)
支倉常長:岡村雄三
伊達政宗:田代久雄(フリー)
どてら・お京:椿 千代
ミゲル:布施勇弥(フリー)
吉野・さや:鈴木潤子
内藤半次郎:黒木友宜
ダニエル他:尾樽部和大
ルイス他:森下彰夫
ビスカイノ他:長掛憲司
お蝶他:碓井涼子
タラコ他:奥泉まきは
カモメ他:瀬川舞巴
特別出演:安達和平
(記載のない方はわらび座)
ものがたり/
主人公は、慶長の大津波でたくさんのものを失った、石巻辺りの名もなき若者。震災から2年後、荒れた農地は未だ回復せず、家族や仲間を奪われた人々の心の傷もまだ癒えていない。
そんな時に、若者や村人たちに新しい仕事が授けられる。それは太平洋を越えるための、大帆船建造のための下働き。
かねてより欧州との交易の機会を伺っていた伊達政宗。この震災によって、その計画も中断を余儀なくされると誰もが思ったが、傷つき荒れ果てた波辺の村々を見聞した政宗は、この苦難に打ち克つべし、逆境をこそ乗り超えるべしとの命を発し、有能な家臣・支倉常長に任務を託す。恐ろしい津波がやって来た、その海に今こそ、漕ぎ出して行こうという大号令である。
何も知らずに、木の切り出しや、荷の運搬に駆り出されて働いていた若者だったが、政宗の熱い思いを知り、大計画実現のために奔走する常長ら、伊達のサムライたちの姿を目の当たりにし、或いは時に彼らと触れ合い、衝突するうちに抑えがたい思いが彼の中で膨らんでゆく。
その船に乗りたい!
多くのものを津波に奪われ、絶望の底にいたが 津波が襲って来た、その太平洋に向かって自分も船出したい。その海の果てに、この苦しみの意味を解く、希望が待っていると思えてきたのだ。津波に飲まれて消えていった、人々にもそこで再会できるような気がするのだ。
船出への夢に取りつかれた若者は、何とかしてこの船に乗ろうと知恵を絞り、手を尽くし、奮闘する。果たして、若者の船出はかなうのか。そして若者は、その海で何を掴むのか。
(公式サイトより)
この日は、5月、7月に続いて、3度目の『ジパング青春記』でした。
7月下旬にキャストチェンジがあってから、初めての観劇。加えて、(わらび座ファンとしてうれしいことに)特別出演として安達和平さんのお名前もありました!
子猫のカモメや旅の一座の舞姫を演じる瀬川さん。
先日、フジテレビで放送されたドキュメントで、彼女と同期の方の研究生からの姿が描かれていました。
番組をご覧になって、わらび座で女優という仕事を選んた彼女を応援したいと思った視聴者が各地にいらっしゃることでしょう。
舞巴さん、この舞台でもがんばってらっしゃいました。
伊達政宗公を演じていらっしゃる田代久雄さん。
先日、2018年1月〜2月に予定されている仙台公演の記者会見がありました。
伊達政宗公は、仙台の方々にとっては他県の我々以上に気になる役柄かもしれません。そんな仙台の方々の期待を裏切らない、貫禄と気迫と人としての大きさを兼ね備えた魅力的な殿だと思います。
政宗公の家臣
内藤半次郎を演じる黒木友宜さん。
政宗の命を受けて被災した海辺の村を訪れ、目的も知らされないまま木材の切り出しの指揮を執ります。
生真面目で仕事熱心な内藤は、物語序盤では無気力そうに見える主人公リウタと対立したりもします。そんな関係が、物語が進むにつれて変化していく様子も見どころのひとつかもしれません。
この船出の物語にとって要となる支倉常長を演じる岡村雄三さん。
政宗との主従関係や出航後の采配など、さまざまな場面でその誠実で勇敢な人柄が感じられます。
舞台上に響き渡る堂々とした歌声もスケールの大きな人物像によく似合って、観る者の胸に残る常長像を描き出していました。
久しぶりに舞台姿を拝見した碓井涼子さん。赤ん坊猫を抱えた母さん猫や、旅の一座のお蝶などを演じます。
可憐なお姿と凛とした声に包容力が加わって、冒頭の子猫たちとのやり取りなども印象深く感じられました。
いくつもの役柄を演じつつ、笛や太鼓、踊りなどでもご活躍です。
旅の一座の吉野や主人公リウタの姉さや、子猫などを演じる鈴木潤子さん。
ミゲルの船出を見送る場面が切なく美しくて、物語の中でも特に印象に残ります。
さや姉を演じる場面は、ガチにネタばれなので詳しくは書けませんか、バックステージツアーで拝見したその場面の立ち位置なども含め、さまざまなご苦労があることと思ったりしました。
主人公リウタを演じる松本旭平さん。事務所の関係でお写真はNGとこことですが、ロビーにはこんなパネルがある設置されていて、劇場を訪れる観客を出迎えています。
この日もバックステージツアーに参加しました。
舞台監督の仁さんと音響の福地さんにご案内していただいて、舞台袖の着替えスペースや舞台の上の砂浜などを歩きました。
砂を敷き詰めた舞台は何度拝見してもインパクトがあります。
波の音や波の光る様子にもスタッフの方々のこだわりと工夫がありました。
たとえば。
演出家の意向で、場面によって海の音を変えたりしているそうなのですが、温かい波の音というオーダーの場面で使われているのは、福地さんがかつてツアーで訪れた沖縄の海で録ったものなのだとか。
録音した時には、こうやって使うことなど予想もできなかったはずです。きっとこの波の音だけでなく、日頃から折に触れてさまざまな音を収集してらっしゃるのだろう、と思いました。
そういうお話を伺うと、次にまた観に来るのがいっそう楽しみになります。
マストの向こうに星空。自分も船に乗っているような気分になりました。
バックステージツアーでお目にかかった(!?)ハナグロ様。凛々しい表情です。
こちらは劇場限定のウラカタグッズで、舞台衣装と同じ生地で作られたくるみボタンです。かもめ役の瀬川舞巴さん版。台紙にはサインもありました(#^.^#)