平成26年6月28日(土)16:00~、エビス駅前バーにて。

『Fight Alone 4th』
- ルール -
・ひとり10分以上15分以下の持ち時間。
・ギブアップは許されない。
・出演者は「ひとり」。
・1チーム4人編成の6チーム(仮)とする。
・脚本・演出は誰かに頼ってもよい。
・形式は自由。ミュージカル・ストレート・パフォーマンスetc…。
・バーの空間を自由に使用。
孤 闘 に 邁 進 せ よ 。
(公式ホームページより)

えびす駅前バーで、『Fight Alone 4th』の【TeamF】を観てきた。

15分ほどのひとり芝居×4組。
まったくタイプの違う作品が揃っていて、しかもそれぞれ目が離せない。
見応えたっぷりの約1時間。


『Othello』
出演/加藤なぎさ
脚本・演出/中尾知代(蜂寅企画)

彼氏のアパートで、彼がシャワーを浴びてる間に、
浮気の証拠探しをしているらしい女の子。

でも、実は……。

誰かを好きになることの理不尽さとせつなさ。
ちょっとスリリングで屈折した愛の形を、
自覚しつつもやめられない女の子の複雑さが印象的。


『どうやらやっぱり私の心は狂ってしまっているみたい』
出演/萱怜子
脚本・演出/中嶋康太(Mrs.fictions)

ふとしたことがきっかけで、家から出られなくなってしまった女の子の独白。
繊細さととぼけた笑いで語られる、引きこもってしまうまでの人生や、
その町で暮らすことへの屈折。

かすかな閉塞感と同時に、どうしようもない温かさが、
いかにも中嶋さんらしい、と思ってしまうくらいには中嶋さんファンなのです。

キャバクラ勤めの衣装の上にジャージを着こんでいたヒロインが、
メガネを取り、ジャージを脱いで、
ドレス姿でお辞儀をしたカーテンコールも素敵だった。


『手帳に喰われた男』
脚本・演出・出演/西田シャトナー

SFだ。15分でもバーの片隅でも、しっかりSF。

麦わら帽子とハーフパンツ。ビーチに行くよういでたちで、バーに入ってくる男。

彼が話している相手は、どうやら狂ってしまったコンピュータ。
ここは宇宙船の中で、彼らは長い旅をしているのだ。

おかしくなってしまったコンピュータをうまくやり過ごして、
どうやったら無事に地球へ、愛しい人の元へ帰れるか……。

それも実は、宇宙船事故でなくなる瞬間に見たまぼろし。
最後に交わすコンピュータとの会話。

SFで、なおかつ切ない物語を堪能した。


『或る肖像』
脚本・演出・出演/元吉庸泰(エムキチビート)

自分の母を殺した男と弁護人の面会。

その悲劇が起こるまでの経緯を、不器用に朴訥に、しかし切実に語っていく。
母の痴呆。その病はどんどん悪化して、
介護をする男は、せっかく入った会社にも行けなくなってしまう。

生活保護、福祉、さまざまな制度のはざまで、
もがきながら追い詰められていく様子。

冒頭で、「死刑にはなりたくないんです、罪をつぐないたい」と言う。
ラストで明かされたその理由。
罪をつぐなって、天国でもう一度母に会いたいのだ、と。

テーマ性の強さに負けない演技が、小さな空間を圧倒した。


それぞれ完成度の高い芝居で、密度の濃い時間だった。
この順序でしかありえない、見終わってからそう思った。

自分が観たのはチームFの4組だけだったが、
全部で24組のひとり芝居。

こういう企画は準備も運営も大変だろう。
しかし観客としては、とても刺激な時間を過ごさせてもらえた。


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クリアな材質のチケットが、とってもおしゃれでした☆