平成26年1月25日(土)14:00~、坊っちゃん劇場にて。
作・演出/横内謙介
作曲/深沢桂子
振付/ラッキイ池田・彩木 エリ
浄瑠璃作曲/竹本葵太夫
浄瑠璃/竹本葵太夫・鶴澤翔也
出演/
平賀源内:宮川 浩
吉次郎:丸川敬之(花組芝居)
お千世:鈴木潤子(わらび座)
杉田玄白:森一馬(演劇倶楽部『座』)
田沼意次:柳原悠二郎
小田野直武:海老原良和
お蝶:加藤富子(わらび座)
屁乃花咲太郎・越前屋:近藤誠二
金太・浪花屋:岩本達郎(扉座)
かん平・権太夫:瀧田和彦
からくりクリ坊・ウナギ屋:藤井凛太郎
お三毛:白石悠佳
お寅:小林可奈
番頭:加藤隆
ジェットスターという飛行機会社が安い、と聞いてはいたが、
実際に料金を調べてちょっとビックリした。
なるほど、成田~松山往復で一万円を切るんだわ。
それなら!
念願の(!)坊っちゃん劇場再訪もかなうんじゃないの!?と思ったのが去年の暮れ。
ただし、到着時間が微妙。どうやら、電車で行くと開演時間に間に合わない。
レンタカーは自信ないしなぁ、タクシーでいくらかかるかしら?と思っていたら。
なんと!ありがたいことに、車に乗せていってくださるという方が!!
地獄に仏とは、まさにこのこと。(いや、地獄じゃないけど)
喜び勇んで飛行機のチケットをポチっとしちゃいました。
6月末に観に行ったときとは、キャストも変わってるし、
なんとかもう一回観ておきたいと思っていたので、ホントありがたかったです♪
ちなみに、前回観に行ったときの感想は、こんな感じ。
『げんない』感想 http://ameblo.jp/kiki002-2/entry-11564762345.html
追記その1 http://ameblo.jp/kiki002-2/entry-11565292525.html
追記その2 http://ameblo.jp/kiki002-2/entry-11565294739.html
まあ3回にわたって書くくらいの気合だった訳なんだけど、
でも、今回観に行って、ますますパワーアップしていることに驚きました。
とりあえず、あらすじはこんな感じ。
時は江戸時代の中頃、場所は江戸両国の見せ物小屋。
高松・志度浦が生んだ希代の天才・平賀源内は
世界でも珍しい電気発生器エレキテルを完成させたものの、生み出す火花は何の役にも立たず、
書生の吉次郎(後の司馬江漢)、弟子の絵師・小野直武(秋田でスカウトしてきた)らとともに、
エレキテルショウを始めて稼ぐことにした。
かつて源内の語った夢に導かれて「解体新書 」翻訳の偉業を為し遂げた蘭学者・杉田玄白は
馬鹿げた見世物をやめるように説得するが、未だ見果てぬ夢を追う源内の耳には届かない。
そんな見世物小屋に、吉原に売られた娘・お千世が逃げ込んでくる。
吉次郎たちの自由奔放な生き様に触れ、やがて自分も夢を見始める。
だか時は江戸時代。庶民が夢見ることを許される時代ではなかった…。
(坊っちゃん劇場公式ホームページより)
さて、まずは新キャストで、主人公 平賀源内役の宮川さん。
博物学者で、浄瑠璃作家で、発明家でもあり、
エレキテルの修理から、西洋画法、鉱山開拓、焼き物、毛織物等々、さまざまな幅広すぎる才能で、
日本のレオナルド・ダ・ビンチとも言われた天才なのだけれど。
宮川さん演じる源内先生は、なんていうか、いい大人がやんちゃばかりしている雰囲気で、
やや図太さもありつつ、可愛げのある(←すいません!)人でした。
歌声も力強く、挫折してもまた未来へ向けて、夢を描いてくれそうな源内先生です。
玄白さんとのやり取りがとてもしっくりきて、
特に終盤のお2人の会話は、ますます好きな場面となりました。
その杉田玄白を引き続き演じてらっしゃる森さん。
「平賀源内は、100年早く生まれ過ぎました」と言い、「あなたは種をまいたのです」と言う。
その玄白の言葉に、「そういうのは、死んだときにでも言ってくれ」とややぶっきらぼうに答える源内。
それは、実際に玄白が源内の弔辞を書いたことを踏まえてのやり取りでしょう。
玄白先生は、6月に拝見したとき以上に誠実で頼りがいのありそうな雰囲気となっていました。
穏やかで優しげな雰囲気ながら、ほとんど意味もわからない外国の医学書の翻訳に挑戦するなど、
ご自身でもおっしゃっていたように、「立派な源内病患者」なのです。
その穏やかな笑顔の底に、無鉄砲な少年の心と大人の意地を感じさせる、魅力的な人物です。
新キャストというか、もう数ヶ月も吉次郎として舞台に立ってらっしゃる丸川さんも、
ようやく拝見することができました。
平賀源内とともに行動し、その影響を受けて、
のちに、司馬江漢の名で有名な絵師、蘭学者として活躍する吉次郎ですが、
この舞台では、恋愛パート担当の色男です。
もうね、拝見する前から、あの浄瑠璃仕立ての場面はさぞカッコよく決まるだろうと、
楽しみにしていました。
加えて、絵に対する情熱も惚れた女への気持ちも、
熱い想いがにじみ出るような、若々しく真摯な印象の吉次郎です。
そのくせどこか世渡りなどに不器用そうで、放っておけない雰囲気がありました。
消えてしまった恋人へ向けて「帰ってこい」と歌う声の響きはせつなくて、
あとから思い返しても胸が痛むような気がします。
そして、年明けから金太(きむた)として登場なさったのは、
前年度の『幕末ガール』でストーリーテラーの三吉を勤め上げた岩本さんです。
今回拝見して改めて思ったのは、この作品の脚本と演出をされている横内謙介氏の、
岩本さんへの信頼の厚さ、です。
なんていうか、多少無茶振りしても何とかしてくれる、的な。
前任の金太さんはアクロバットの名手だったので、
見世物小屋のコンセプトにはもうばっちりだった訳です。
同じことをやるワケにはいかないし、どうするんだろうと思ってたのは、たぶん私だけではないはず。
実際に観てみると、なるほど、こうきたか!という感じです。
西国出身の軽業師金太に変わって、なぞの異国人(?)キムタとしてご登場。
側転や腹話術、巨大風船を使った大技などで、舞台を彩ります。
これね。この時期限定のバージョンなのでしょう、
面白いからぜひ多くの方にご覧になって観て欲しい気がします。
継続のキャストの方々も、ますます魅力的でした。
先にあげた玄白先生をはじめとして、たとえばお千世役の鈴木潤子さん。
初々しくけなげな娘役に、生き抜こうとする力強さが加わったように思えました。
吉次郎さんとのラブラブぶりもますます可愛らしく、ほほえましく感じられました。
4月から、秋田のわらび劇場で上演予定の『げんない』で、
同じくお千世を演じられることになっています。
先日は、都内で制作発表があり、新聞等でも報道されていました。
見世物小屋の仲間をまとめる咲太郎役の近藤さん。
屁こき芸人などというコミカルな設定を、嫌味なく爽やかに演じてらっしゃいます。
頼もしい雰囲気もあり、舞台の終盤では座長として仲間を引き連れて上方を目指します。
また、歯切れのいいダンスがカッコよくて、つい眼で追ってしまいました。
その咲太郎の女房で、芸人仲間をまとめるお蝶さんを演じる加藤さん。
素敵な笑顔で、ナイフ投げの妙技を見せるギャップが素敵です。
衣装も髪型も時代考証完全無視な源内一座の中で、
この方だけは、日本髪に着物姿です。
鮮やかな色合いの着物がお似合いで、華やかな雰囲気でした。
平賀源内は、こういう仲間たちとともに、エレキテルを目玉とした見世物小屋を始めます。