●夏に汗をたくさんかくと痛風発作が出る

夏、クーラーの効いていないところで熱いものを食べると下着が濡れるぐらいの汗が噴き出す。痛風持ちは、Tシャツ全体が汗でビチャッと濡れるような時、急いで体を冷やさないと取り返しのつかないことになる。

血液の水分が汗によって体外に排出され、血中尿酸濃度が上がり、関節にたまった尿酸結晶がはがれて発作が起きる。尿酸値が急に上がったり、下がったりすると関節に溜まっていた尿酸結晶がはがれるという恐るべき痛風システムになっている。だから大量の汗はやばいし、あん肝もやばい。一気に尿酸値が上がり、尿酸結晶が剥がれ、発作が起きて取り返しがつかないことになる。Tシャツがビショ濡れになった時点でやばい。夜に発作が起きる。痛風発作は発作が起きる時も、起きてからも夜中の1時頃が一番やばい。夜中の一時というのは痛みに集中できるから本当に苦しい。絶対眠れないし、眠れたと思ったら痛みで飛び起きる。一ミリ患部を動かしただけで痛い。動かさないでも痛い。眠っているうちに無意識に患部を動かして超激痛でビクンッと目を覚ます。

はがれた尿酸結晶は針のようにとがっていて、それが完全に溶けてなくなるまで、患部に血液が集まってきて、炎症が続き、歩けるレベルの痛みではない。

 

水を飲めばいいというのは本当だが、水を飲んで、すぐに血液が薄まるわけではないから、汗をかかないように心掛けるしかない。血液は常に正常値に向かって調整されていくが、一気にたくさん汗をかいてしまっては、いくら水をガブガブ飲んでもすぐには調整が追い付かず、血中尿酸値は上がってしまう。血液調整能力は老化とともに遅くなるから、40歳を過ぎて痛風になる人が多い。若い人はいくら二日酔いでも二日あれば正常な血液状態にに戻るからあん肝を食べてもなんともない。

汗をかき過ぎだと気づいたら、その時点でラーメンを残すしかない。食べ続ければ汗はさらに出てくる。

涼しいところに避難すれば汗はすぐにやむ。汗が止んだ分だけ血中尿酸値濃度が上がらないで済む。急いでぬるい水風呂に入っても一素早く汗は止むし、涼しいシャワーを長めに浴びても汗が止むのが早いむ。

簡単だ。汗を止めれば、それ以上尿酸値は濃くならない。一度水風呂で体を冷やせばその日は汗を大量にかくということはない。

 

汗を多くかいた日はあったかい風呂に入ってはいけないし、あったかいものを食べない。ぬるい風呂に入り、クーラーの効いた部屋でのんびり過ごし、冷たいものを食べる。ストレスも尿酸値を上げる。ムカムカしていると脂汗が出続け、尿酸値が上がって発作も出る。体温が下がっていれば汗は出てこない。水風呂に入って、クーラーの効いた部屋でのんびり過ごせばれば体がサラサラしてストレスも減る。汗をかかないでいる間に、血液は水分によって調整され、血中尿酸値も下がり、痛風発作が回避できる。

 

痛風もちが肉体労働者だったり、外回り営業だと大変だ。薬をちゃんと飲まなければ年に二度の発作は避けられない。痛風はどんどん発作期間が長くなるが、回数は年に二回までであることが多い。年に三回というのはあまり効かない。関節に尿酸結晶がたくさんたまるには数か月かかるのだろう。「もう二年出ていないから大丈夫」という人に限って近くに発作を起こす。尿酸値が7を超えている限り、確実に関節に尿酸結晶を溜め続けていると考えていい。

外で働いている人は簡単に暑さから避難できないし、シャワーを浴びていられないまま汗をかき続け、血中尿酸値が10を超え、発作が起きてしまう。

健康診断で尿酸値が7を超えると、医者が尿酸値を下げる薬を処方してくれる。8を超えると薬で治療される。尿酸値が高いと腎臓も悪くなるから治療が必要になる。治療で尿酸値を下げると今度は糖尿病になりやすいというのは痛風もちの間では有名な話で、糖尿病患者は最期は人工透析になる人も多いから誰もが恐れている。太っていて、甘いジュースが好きな糖尿病患者は特に悪化しやすい。甘いものへの感受性が高く、糖尿病になる体質に生まれてしまっている。

 

痛風持ちは体質的に常に尿酸値が高いから汗を恐れる。

しかし、酒をやめれば、それほど尿酸値は上がらず、関節に溜まる尿酸結晶も少ないのでそれほど恐れることはない。

酒は少し飲むともう少し、いつまでも飲み続けたくなる。明日も飲みたくなる。酒を飲めば飲むほど、血液調整が追い付かず尿酸値は上がっていき、たっぷりと尿酸結晶が関節にへばりついていく。

酒をやめてからの尿酸結晶は、夏にたくさん汗をかいても、足の肌の表面が赤くなって尿酸結晶がはがれたのがわかるが、歩けないというほどではない。今以上汗をかかないように避難していると5日で治ってしまった。

 

痛風になったら、酒なんてやめてしまう。飲めば飲むほど、周囲から見るとあわれで痛々しいだけで、酒を飲んでもしょうがない。酒がうまいというのは思い込みで、頭でうまいと思い込んでも、体は悲鳴を上げるほどにまずいと思っている。酒よりうまいものは他にもたくさんある。痛風持ちの飲酒は腎臓にも打撃を与え続けている。酒を飲む意味はない。煙草と一緒で完全に体から抜けきると見るのも嫌になる。酒や煙草をやめた人が酒や煙草をやめられないでいる人を見る目は軽蔑にあふれている。酒も煙草も健康なうちに楽しむもので、体を壊してやめた人にとっては興味の対象外だ。臭いし、うるさいし、どうでもいい。

 

「酒はいいな」というのは健康な人の思い込みで、痛風になってしまったら酒は糖尿病へと続く毒でしかない。

酒の美学は頭の中でつくられてしまったまったく愚かな思い込みで、痛風になった体は、

「頼むからもうこれ以上変なものを体に入れないでくださいよ!」

と泣いて頼んでいる。

痛風の激痛は体からのメッセージだ。夏、尿酸値の高い体が求めているのは体を爽やかに冷やしてくれるアイスコーヒーであり、水風呂やシャワーなのは間違いない。