●寝ながら食べられるもの

痛風の発作を起こすと動けない。足が痛いから這うことになる。体重を少しでも足にかけたくない。

痛み止めを飲むから何か食べなければならない。毎日限度回数の三回飲むから何も食べないと体を壊す気がする。

立って食事の準備をして、椅子に座って食べることはできないから、這って冷蔵庫に行き、そのまま食べてゴミ箱に入れることができるものがいい。

●パンは冷凍室に入れておけばいつまででも食べられる。空気が多いからカチカチになって食べられないということがない。

●おにぎりはカチカチになるから冷凍できないが、冷蔵庫で数日もつ。

西友の宅配に数日に一度きてもらい、寝ながら食べられるものばかりを配達してもらう。

●せんべいやスナック菓子やナッツは常に枕元に置いておけるが、食べるのが楽しいからあるだけ全部食べ続けてしまう。食べるのは暇つぶしに一番だが、太る。

お菓子は栄養が圧縮されているから、カロリーが高過ぎる。絶対体に悪いのは翌朝便をすればあきらかだ。なかなか出てこない。体にいい食べ物は便を拭きとるのに一度で済むことがあるが、体に悪い肉食やスナック菓子は何度拭いても拭き取り切らない。便器にこびりつくこともある。胃も腸も同じようにべとつき、あれているのがわかる。

●チョコレートは少しでやめておかないと、ベトベトでいつまでも完全消化れず、いつまでも拭き取れず、肛門がかゆくなる

●小分けにされた小さなサイズの袋入りポテトサラダは汁がないから袋をハサミで開けて、そのまま押し出しながら食べて捨てれる。消費期限も数週間あり、とても食べやすい。指で押し出すだけで綺麗に食べ切れ、ゴミが小さく清潔感があり、食べ終えた袋をいつまでも枕元に放っておいても臭いが出ることはない。スーパーやコンビニによって種類と味が違い、どれもすべておいしい。はずれがない。居酒屋でビールのつまみに食べてもおいしいポテトサラダは寝ながら食べても同じようにおいしい。

●飲むゼリーよりずっと充実感と満足感が味わえる。

●チーズは旨味が濃厚で一個で満足感を味わえる。チーズも食べ過ぎが怖い。チーズや油、バター、乳製品の食べ過ぎは血液を濁らせ高脂血症になる。家にあると食べ過ぎてしまうから、食べ過ぎに注意するものは食べ切る分だけ少量ずつ買う。

パン、おにぎり、

●小さいストローつきの牛乳、

●トマトジュースと野菜ジュース、

ポテトサラダ、少量のみのチーズがいい。どれも満足感があっておいしく、ゴミを枕元に長くおいておいても臭いが出ない。野菜ジュースは病人にはにんにく臭が強い種類のものもある。

●魚肉ソーセージ、チーズかまぼこも蒲団を汚さない。昔の魚肉ソーセージは包装がなかなか破けなかったが、今は簡単に開けられるものが多くなった。魚肉ソーセージもチーズかまぼこもプリン体が少ないのが素晴らしい。

●味が薄いが、蒸し大豆も汁がなく食感がいい。味が薄いが食べていてリズムがあって楽しい。

●着色料が気になるがしょっぱくておいしい塩えんどう豆も食べ始めると止まらない。着色料と保存料などの添加物表示を見るのは嫌だが、気にすると食べられるものが少なくなる。できるだけ原料表示をみないようにしている。緑色の加工豆食品はほとんど着色料をつかっていて緑色にしいて、気持ちが悪い。おいしければ色なんてどうでもいいが、自分で茹でる枝豆、スナップえんどう、いんげん、さやいんげんなどの自然の豆の色はやはり加工色と違って感心するほど美しい。

●枝豆は本当に綺麗に光っていて体にいいのがわかるが、食後の皮はかなり邪魔で、夏は臭いも出る。

●乾燥納豆はおいしいが塩分が強過ぎて顔がむくむほどだ。

●バナナも皮が厚過ぎて虫が寄る。

●むき栗は軽い甘さでおいしい。ダイソーの100円で120gグラムの無選別栗は本当に安い。選別されたものも無選別も味の違いはない。ダイソーの無選別むき栗は大きくてうまい。コンビニで売っている40グラム100円のむき栗よりうまいのがすごい

●さつまいもも蒸かしたものなら寝ながら手づかみで食べられるが蒸かしいもや焼きいもは簡単に手に入らない。さつまいもや栗の甘さは体にいい甘さだ。さつまいもは食物繊維が多い。甘いものは老体には悪いが、食物繊維など、糖質以外のものが含まれていればいるほど老体には有害でなくなる。干しいもは甘さが凝縮され過ぎている。

むき栗とさつまいもは冷たい牛乳や熱いコーヒーに合い、夏は体を冷やし、冬は暖かくなる。水にもお茶にも合い、食べ過ぎなけれ理想の粗食になる。

家にいるとすぐ横になる。座っていられない。楽だから横になる。横になっておいしいものを食べると幸せしかない。食べ過ぎてそのまま眠ってしまう贅沢がある。

蒲団や毛布を体に掛けて、いつでも眠れる状態でものを食う。なんともだらしがなくて人には見せられない姿だが、早く家に帰って蒲団をかぶっておいしいものを食べたい。

ナッツ、むき栗、干しいもをちょびちょびゆっくり食べたい。そんなにうまくはないが、

●おしゃぶり昆布や味付き茎わかめもたまにはおいしい。都こんぶは粉が散る。

酒飲みならば、

●さきいか、ツナピコをつまみにストローで飲むミニ日本酒パックもうまそうだ。高齢化社会で寝たきり老人が多いのだから、立ち飲みブーム、家飲みブームに続いて、寝飲みブームがきても明るく楽しい。暗くなっても仕方がない。寝たきりになると楽しみが極度に少ない。生きている希望を失うぐらいなら病気で寝ながら酒を飲んでもいい。酔っ払って生きる楽しみを取り返した気持ちになれる人は少なくない。酒にはそれぐらいの力がある。歳を取って病気で寝たきりになったおかげでワインが誰にも負けない

ほどわかるようになった、というような人はなかなか現れない。

いくら楽だからといって寝ながら食べ続けると病気になる。寝ながら健康的に食べるのが難しい。

飲み物は蒲団のそばに置くと必ず倒してこぼす日がやってくる。眠っている間に必ずカップやコップを倒してしまう。これはパソコン付近にもいえることなので、ストロー付きのミニパックは重宝する。決して蒲団を汚さない。倒れてもこぼれない。寝ながら吸えるのは嬉しい。野菜ジュース、トマトジュース、牛乳。

●成分無調整豆乳は水っぽくてつまらないが、調整豆乳は砂糖でおいしくしているからジュースと変わらない。

●甘いジュースは痛風に悪い。糖分の多いジュースは尿酸値を上げる。

野菜が足りない。こればかりは買い置きも難しいから頑張って食事の準備をして椅子に座ってたまに一気にたくさん食べる。久々に食べる野菜はおいしい。久々の野菜こそ体が欲していると実感する。普段普通に食べるサラダと違い、久しぶりの生野菜は野菜のうまさを実感する。数時間後の便通も通りがよく気持ちいい。

●にんじんは寝ながら食べられる。いっさい汚さないし、ゴミもない。

●トマトのゴミはヘタだけだが、気をつけないと汁が飛び出し蒲団が汚れる。

●林檎も柿も、ゴミが出るし、果汁で手がべとつく。

にんじんは慣れてしまえば生で何もつけずに全部食べられる。歯が弱い人は難しいが、ガリコリして自分の歯の丈夫さが嬉しい。うまくもないがまずくもない。大きいのは飽きてまずくて食べ切れなくなるから小さいのを選んで買う。今は二口サイズくらいのかわいい小さいにんじんも見るようになった。常温でもなかなか悪くならない。

冷蔵庫と西友の宅配があれば仕事以外に出掛ける用がない。

冷蔵庫のない時代に日本には痛風がほとんどんなかったのは興味深い。食べ物が十分になると痛風と糖尿病が大流行した。本来動物は生きるために食べ物のことばかり気にしているのが普通だったのに食べ物の心配がないと食事をもとめて動く必要がなく、栄養を摂り過ぎで病気になる。

 

知り合いにひきこもりの話を聞いた。深刻なひきこもりはいっさい家族と顔を合わせず、部屋から出てこない。

家に誰もいないと部屋から出てきて、冷蔵庫にあるもので料理をし、自分の食べるもの以上の料理はラップにかけて冷蔵庫に戻しておく。家族に対して申し訳ないという気持ちをもっている。家に誰もいなくなる気配を常に察しているのはつらい。

ひきこもりは金がかからない。遊びに行かないし、快楽が少なく、申し訳なさそうにひっそり暮らしている。社会復帰に望みを失い、死ぬことを考えている人も多い。

子供が事業を始め、親の財産をつかい果たす話はよく聞く。事業の成功率は非常に低い。売り上げは少なく、会社を続けている限り請求書がバンバンやってきて、払えず、払わないとせっかく始めた事業がつぶれてしまうから親に頼んで金を借りて払う。払ったからといって売り上げが伸びることは少ない。修業経験不足で事業を始めると人脈もない。親しか頼れない。支払いに困る会社に金を貸すのは親だけだ。金がなくなるまで貸し続ける親は多い。会社維持費は子供の生活費でもある。結婚して子供がいれば金はいくらだってかかる。孫に金をつかうのは有意義であり楽しい。早く会社をやめてもらわないとあるだけ全部消えてなくなる。会社は金がかかる。家賃は高い。人件費なんて払えない。儲かっていない会社は一族を貧乏に変えるだけの金がかかる。世のため、資産のたくさんある家はどんどん新事業を始めるべきだが、普通の家で事業を始められたら大変なことになる。1億円の借金をかかえる、利益の出せない小さい会社の社長はたくさんいる。私の周囲にも多く、全員みじめな思いを経験している。

ひきこもりで破産に追いやられるような迷惑は聞いたことかない。仕事に失敗すると交通費にも困るようになるが、ひきこもっていれば交通費もかからない。世間の評価は倹約してじっとチャンスを待っているひきこもりより、親の財産をつかい切る経営者の方がずっと上だが、自分と家族が暮らしていけるだけの利益の出ていない会社を続けている人は多い。一生懸命働いて自己破産に向かって借金を増やし続け、周囲を不安にさせる人は多い。

ひきこもり程度でよかったという考え方もある。自立して家族を養い何千万何億と借金する子供がいるのに対して、ひきこもりは月に5万円もかからない。しかも健康なひきこもりはそのうち元気を取り戻し、介護が必要になった親の面倒をみる可能性が非常に高い。

ひきこもらないとまとめて映画をみれないし、たくさん本を読めない。納得いくまで勉強できないし、趣味や研究に没頭できない。

酒場で社交的な若者の会話を盗み聞きしていると、大した話をしていない。教養がなく、レベルが低くて、聞いていてムカムカする。あんな友達はいらない。

孤独に立ち向かい、勉強や研究に没頭し、社会復帰できるかもしれないと希望をもっていれば、それだけで生きていける。好きなことへの努力はそれだけで生き甲斐になる。

普通はみんな仕事に忙しくて没頭なんてしたくてもできない。

孤独に耐えられず、どうでもいい友達とどうでもいい安酒場であってもなくてもいいような時を過ごしてしまう人が多い。

ひきこもりをやめた翌日「病気をしていた」の一言でひきこもりの過去は消える。

チャンスは必ず訪れる。

私も何度か経験したが、ひきこもって吸収した知識は将来必ず役に立つ。今もまた図書館にひきこもって教養をみにつけようと努力している。ひきこもらないと習得できない知識がある。

 

終わってみるとひきこもり期間は優雅な時間でもある。自由な長時間は気持ち次第で永遠の至福の時間となる。就職が決まれば無制限の自由は瞬時に終わる。ほどよい自由の獲得をできる人はごくわずかしかいない。無制限の自由か、不満足な自由かしかなく、普通は不満足な余暇を積極的に自分から肯定して満足するしかない。無制限の自由には人とは違う批判や不安が必ずセットでついている。

世間は今をみている。親が病気で倒れると、ひきこもっていられず、親の代わりに活躍する。人生はあっという間に過ぎていく。子供が40歳になれば親は平均70歳で、介護が必要になってくる。誰にもひきこもりとはいわれなくなり、立場は自動的に逆転して自宅介護となる。親と一緒にいてくれる子は愛しい。

親は、若い子供の結婚相手には厳しく、若くなくなった子供の未婚を嘆く。子供の世話になり、認知症を迎え、ひきこもりの過去など忘却の彼方へ消えてなくなる。

介護を終え、親を亡くしてみるとよくわかる。「自立して欲しい」「一人でいたい」などと大人になった子供を批判しながらも、子供が自分から離れていかないようにしている親が多い。子供を批判することによって、自分を肯定し、自分の立場を保とうとする。自己肯定に本人が気づくことはないし、認めないが、赤の他人からみるとよく見える。文句をいって子供を注意するが、一人になりたくないから子供と一緒に過ごしている時間が普通の家よりずっと長い。いつまでも子供と一緒に食事し、レジャーに出掛ける。他人からみれば、親が大きくなった子供をいつまでも付き合わせていきいきとしている。

 

9割以上の人は孤独に耐えられず、1週間以上誰とも話さないで不安にならない人は変人が趣味人しかいない。

私の両親は二人とも高学歴で高収入だったが、母は「老後には郵便配達の仕分けのアルバイトをしたい」といい、父は「定年後は新聞配達をしたい」といって私に偉そうにかっこうつけて道徳を説いていたが、老後になったら、私の思った通り、両人とも一回も郵便配達の仕分けのアルバイトも新聞配達もやる気配はなく、申し込むこともなく、そのまま寝たきりになり、自分の食料さえ買いに行けず寝床でクソをもらすようになった。両人とも郵便配達も新聞配達も、そんなことはもう口にも出さず、例え申し込んでも寝た切りの老人を雇う郵便局や新聞販売店はない。

親の介護を終え、本当の孤独を迎える子供が多過ぎる。自立の早い人は親離れも早いが、親の子離れも早い。親が不健全にいつまでも子離れせず親子で長時間を過ごしていれば子供の恋愛チャンスも恋愛時間も減る。恋愛相手は、優秀な順に相手を獲得していくから、取り残されていく。恋愛相手の親と一緒にいたい人などいない。孫の顔がみたい、といいながら恋愛の邪魔をしている。

 

ひきこもりの人の話を聞いていて、風呂に入れたいと思う。風呂にも入らず周囲に気をつかってがんばっているのだから月の生活費は数万円だろう。風呂ほど安くて気持ちのいいものはない。不潔は気が滅入る。清潔はよみがえる。

痛風で何日も風呂に入れないでいると、不潔から清潔へのよみがえりの喜びを実感する。普段でさえ、毎日の風呂によるリフレッシュ効果は震えるほどの感動なのに、不快な不潔から清潔の一気改善はたまらない喜びとなる。熱い風呂の湯に体から希望が溶け出し、汚れとともに心の傷が洗い流される。髭剃り後も、坊主頭もスッキリして気持ちいい。一からやり直せる。体に当たる風が違う。

週に二度、ひきこもりの彼一人にしてやるために、みなで数時間出掛ければいい、と私の意見をいった。数時間あればゆっくり風呂に入るようになる。