新聞記事を書きました | 不動産鑑定士長谷川由紀のいいネ西宮☆こだわりのある方!阪神間の不動産(賃貸・売買) 私が探します!

不動産鑑定士長谷川由紀のいいネ西宮☆こだわりのある方!阪神間の不動産(賃貸・売買) 私が探します!

㈱小林エステイトの不動産鑑定士長谷川由紀があなたの希望をしっかり聞いて、じ~っくり親身に不動産の物件探しをします!!

平成27年5月19日、『大阪日日新聞』に私の執筆した新聞記事が載りました。
「関西美術探訪」という、関西の美術館を紹介する週に1度の連載です。私の出身大学が連載枠を持っていて、毎回、異なる執筆者が書くのです。
知り合いに推薦されて、書かせてもらうことになりました。
好きな展示会を選べばよく、今回、西宮の苦楽園四番町にある堀江オルゴール博物館について書きました。

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博物館へのアポ取り、取材など、初めての経験ですし、文章表現の推敲にも時間がかかりましたが、いい経験になりました。

新聞に掲載され、オルゴール博物館へ問い合わせがあったと聞き、読者に届いたと実感でき、嬉しかったです。

記事の原稿、載せておきます。是非、皆さんも行ってみてくださいね!

 デジタルの音をパソコンで聴くことが当たり前となった私たちに、音を聴くことの素晴らしさや豊かさを教えてくれるミュージアムが西宮市の山手の高級住宅街にある。堀江オルゴール博物館である。
 19世紀初頭から後半に製作された欧米のオルゴールと自動演奏楽器を中心としたコレクションであり、単に眺めるだけでなく、実際の音色を聴くことができる点に同館の真価がある。音楽の大衆化の中で、オルゴールが果たした役割の解説もある。是非、日に3回ある館内ツアーの開始時間(午前10時半、午後1時、同3時。ただし、月に1~2回のイベント日は、前2回の通常演奏の後、同3時の回に替わって同2時半から特別演奏会となる)に合わせて来館し、学芸員による演奏を聴いてほしい。

背丈を優に超える大型のディスクオルゴールは、木材の種類によって響きが変わる「楽器」であり、職人たちが当時最新の技術を盛り込んだ「テクノロジー」の成果であり、優美な木彫が施された外観は「調度品」ともいえる。華やかにきらめく高音、腹に響く低音は、オルゴールならではの音色であり、音域の広さと相まって、聴く者を圧倒し虜(とりこ)にする。

現在開催中の「ディスクオルゴールと蓄音機の世界」(7月31日まで)は、オルゴールの仕組みや音色の素晴らしさだけでなく、蓄音機が奏でる音との違いをじっくり聴き比べることのできる展覧会内容となっている。その場で曲を演奏し、音色を生み出すオルゴールと異なり、蓄音機は、過去の演奏を録音し、再生するものだから、人の歌声も再生可能である。この当時の最新技術がオルゴールの人気を奪ったわけだが、現代の私たちにとってはこの蓄音機の音色もまたノスタルジーを誘う過去の物で趣き深い。

1階に展示されたアメリカの再生ピアノ「アンピコ」(191233年頃)は、演奏を紙にアナログな方法で記録して自動演奏するが、演奏家の息遣いまで伝えるような迫力で再現し、これまた必聴である。

オルゴール、蓄音機、再生ピアノが奏でる音色を体験すると、私たちが日頃親しんでいるデジタル録音機器は、どこまで演奏を再現しているといえるのか? その場で音楽を演奏しているオルゴールや再生ピアノの方が豊かな音楽体験を提供しているのではないか? 音楽再生技術の進歩の中でこぼれ落ちたものはなかったか? そんなことまで考えさせられる。

建物の3階からは、阪神間の街並みがパノラマの大迫力で一望できる。塵(ちり)一つなく管理された優美な展示空間に響く、澄んだオルゴールの音色。進化を止めた過去の遺物たちが奏でる音の生々しさに胸を衝()かれる。世俗を忘れる異空間で、ここでしか聴けない音色を体験してほしい。

          (阪大芸術史学講座修了 不動産鑑定士)