子供時代を生き生きと回想する『父の詫び状』。
自分自身のことはちょっとこき下ろし気味に書いてあって、「アハハ」と読めるんだけど、ちょっとほろっとするところもある。(例えば、さくらももこのエッセーみたいなかんじ?)
『向田邦子の手料理』というムックも大好きで、美味しそうなレシピが写真入りでいっぱい紹介されているので何度も作ったし、お取り寄せできる美味しい銘菓も紹介され、向田邦子さんの写真も美しく、向田邦子さんの世界が五感で味わえるのが魅力でした。
だけど、小説のほうは、短編集『思い出トランプ』なぞは、直木賞をとった作品も収められていて名作の誉高いものなのだけど、、、、男女の裏の顔を描いて、「うわ~
![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/029.gif)
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先日、図書館でたまたま『向田邦子 暮らしの楽しみ』というムックを見つけて、「アラ、懐かし~」と手に取り、ネットで色々調べていたら。
向田邦子さんが30代、不倫の恋をしていて、しかもその恋人に自死されていたということを知りました。
そして、ワタシが気軽に笑って読んでいたエッセーは、乳癌の術後、動かない右手の替わりに左手で書いたものであったということも。
そんな暗さは微塵も感じさせないエッセーでした。
しかし、小説の方に見られる夫婦や愛人間の悪意、嘘、ごまかし、心変わり、自己中心さ、小市民的な狡猾さを描く残酷なまでの心理描写に、実生活が与えた苦悩の影を見た気がしました。
向田邦子さんの秘めた恋の存在は、向田邦子さんの妹、和子さんが『向田邦子の恋文』を2002年に出版してやっと、一般読者にも知られるようになったのです。向田邦子の芸術世界を読み解く超一級の資料ということになります。
また向田さんの恋人がカメラマンであったことから、若き日の映画スターのような、美しい写真群にも納得させられます。
売れっ子脚本家として業績を残したあと、文芸の世界でも直木賞をとり、その才能への賞賛を欲しいままとした、そのまさに翌年、昭和56年、51歳の若さで、飛行機事故で不慮の死をとげています。
なんという人生!
ワタシも年を経て、再読する、向田邦子文学のほろ苦さ。
大人の味ですねぇ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20130210/19/kijyun/c0/98/j/t02200165_0800060012413584872.jpg?caw=800)
いいネ西宮
エッセイストの酒井順子が『負け犬の遠吠え』で、向田邦子さんのことを「不世出のカリスマ独身女」と呼んでいるらしい、、、
http://ameblo.jp/tonton1234/day-20050422.html
まずは『父の詫び状』がオススメです。
http://www.amazon.co.jp/%E7%88%B6%E3%81%AE%E8%A9%AB%E3%81%B3%E7%8A%B6-%E6%96%B0%E8%A3%85%E7%89%88-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%90%91%E7%94%B0-%E9%82%A6%E5%AD%90/dp/4167277212