手術の前の夜、
苦しみもがいていた。
人工呼吸器の規則的な音が聞こえる。
息ができないのに、なぜか苦しいまま生きているという感覚だった。
今、この瞬間に溺れて死んだほうがましだとすら思った。
(こうなる前に死にたかった)
(なぜ生きているんだろう)
時計を見ると、大げさではなく
1分が1時間にも長く感じられた。
苦しさのあまり何度もナースコールを押してしまう。
ナースコールを押し続けてしまう高齢の入院患者の気持ちがわかった。
どうしようもなく、どうにもならないとわかっていながら
一縷の望みをかけてナースコールしてしまう。
声が出せないので、手元にあったスマホの画面に、
「苦しいです」「眠れませんか?」と文字を打って看護師さんに訴えた。
長い夜が過ぎ、
気が付くと傍に口腔外科の先生がいた。
私が不安にならないようにと色々と説明してくれているのがわかった。
手の甲にマジックで、手術内容を書かれる。
そして、意識が朦朧とする中、
何人かに持ち上げられて、ストレッチャーに移されたのがわかった。
運んでくれている看護師さんが、
「ちょっと揺れますよ」
「回りますね」
など、説明しながら運んでくれていた。
誰かが手を握ってくれたのがわかった。
夫だろうか?
と思ったら看護師さんだった。
握り返すと、しっかりと握り返してくれた。
その優しさに涙が出た。