レナー弦楽四重奏団のベートーベン中期弦楽四重奏曲のCDです。
1920~30年位の録音です。
正直言って録音状況もよくありませんがなんというか毎回聴く度に非常な感動をうけるのです。
今の時代にはなかなかない魅力といいますか、ちょうど第一次大戦と第二次大戦の間の時期に録音されたのですがロマン主義時代の残滓のようなものがみてとれます。
そのなかでベートーベンがしっかりと浮かび上がる、といいますか、むしろベートーベンの時代から現代に至る経緯の片鱗を感じるのです。
もちろんベートーベンの時代の奏法、ベートーベンの頭で鳴っていたであろう弦楽四重奏というものはわかりませんが、この録音の百年ほど前にはベートーベンが生きていたわけですからベートーベンの精神、ヨーロッパの精神的な流れを見るなかで非常なヒントとなるのではないでしょうか。
よく言われる事で、私自身もクラシカルなCDやその時代の文豪の小説を読むなかで感じることですがやはりヨーロッパ、或いは世界的な精神は第二次大戦というのが分岐点となる、という事です。
もちろんどちらが良い、ということではありません。
ただその世界大戦前の演奏における精神的な魅力というものはいま聴きますと圧倒的なものがあり、それがまさにこのCDには克明に刻まれているように思います。
いずれにしましても二百年前に作曲された曲を百年近く前の録音により、まさに今、感動する、ということは何といいますか、奇跡的なように感じますしクラシックならではの深みのある上質な楽しみ、と言えるのではないでしょうか。
ぜひレナー四重奏団、聴いてみて下さい。
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