私は日本に生まれ、ひらがな・カタカナ・漢字の順に学び、日本語で普通に

生活出来ているけれど、それが許されない民族が、中国にはいらっしゃる。

自分は何者か? など、アイデンティティを考えた事もなかったが、それは平和

な日本国であるからこそなのだ と、ヒシヒシと感じるようになって来た。

平和を当たり前と感じる日本だが、平和が70年以上も続く事自体が幸運だった。

 

この2年ほどで、WEFなどの私的機関の野望を知り、中国の野望も知って来た。

共に共産主義的で絶対主義だ。 加えて、日本政府や官庁や企業が、自国民や

自社社員を大事にしなくなっている現状を知っていくうちに、今後の不安さえ

感じるようになって来た。

 

崖っぷちの危機感を感じるからこそ、世界情勢や謎の中国情勢を知りたくて

沢山の人が書いた本を、なるべく多く読もうと心掛けている。

今回のウィグル人著者による本もその一つで、とてもまじめな硬派な内容だ。

前回に続いて、②を書いていくけれど、まずは、①のおさらい。を少しだけ

 

 

2016年 陳全国ちんせんこく自治区トップに就任後から、

ウィグル全土で大規模な強制収容施設を建設し、ウィグル人の弾圧を強めた。 

2017年 (新疆ウィグル自治区)脱過激派 条例」が設定される。

2018年 新 脱過激派 条例」で修正案が加わる。

ウィグル語使用、断食、あごひげ等が問題視されて、全てのウィグル人は弾圧対象となる。 

 

2019年 国連人種差別撤廃委員会100万人のウィグル人が強制収容されている事を議論。

     ・影響力の有る(知識人、宗教指導者、スポーツマン、芸能人)が強制収容された    

2020年 トランプ大統領の署名で、「ウィグル人権法」が成立。
2021年 「中国政府のウィグル弾圧」に対し、トランプジェノサイド認定
      アメリカだけでなく、欧米諸国の議会でも、ジェノサイド認定
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人権意識は低い
国連では「世界人権宣言」などで人権保護を課題として来た。
中国の人権意識は欧米に比べて低かったが、欧米諸国からの非難で変化してきた。
しかし、今も根本的な部分では、とても低いように見える。(私見)
 
2004年 中国の憲法に初めて人権条項を入れるが、その後も弁明し続けている。
「発展途上国ゆえに、憲法に書かれた全ての人権を、直ぐには実現できない」と。

2008年  北京オリンピック以後、さらに中国の人権状況は悪化している。

人権は普遍的価値ではなく、西洋の押し付けを受け入れたら、中国の価値を否定する事になる」と。

 

・2018年頃から、国際的な批判が高まっていく。 

・2021年 「ウィグル自治区での弾圧」=「民族ジェノサイド」と認定する。

先進7カ国は、ウィグル問題で制裁を含む措置を取るが日本だけが取ってない

 但し、29都道府県(83の地方議会)が意見書を採択し、日本国に対応を求めている

 

 

強制収容  監視システム

ヒューマン・ライツ・ウォッチは中国当局監視の報告書を公開している。

★ 昔のウィグル自治区には国境線がなく、弾圧や殺戮を懼れる民衆は、逃れる事も可能だった

★「新中国」成立後、国境地域に「兵団」が設置されて逃げ場がなく、被害は最も深刻となっている

 

・2016年初めから1200カ所で「収容施設」=「再教育キャンプを建設開始。

「監視システム」ハイテクノロジーやビッグデータやAIを搭載住民を監視

 小説「1984年」で描かれた仮想国の全体主義国家より強力で、12歳~65歳の住民のDNAサンプル、

 指紋、虹彩のスキャンなど、大量の個人情報収集して、日常生活も丸裸で監視されている。

 当初 中国政府は施設の存在を否定したが「再教育の為に必要だ」と主張を変えている。

 

 

労改・労教  強制労働  

以前から、中国では、政治的理由で、国民は強制収容されて来た歴史が有る。

1954年 政治犯などの懲罰で、労働による改造する「労改」施設を作る。 

      軽犯罪事件の容疑者を最高4年間拘束できる「労教」施設も出来る。

★どちらも無償で長時間労働させる点で「経済効果が高い」とされた。

 

1992年 中国政府の「強制収容所に関する白書」では 1949年~累計で1千万人を、

    「労改」に送ったと 認めている

 

2013年末 国際社会の強い批判で、中国政府は「労改」や「労教」撤廃したが、

2017年~ 再びそれに近い収容施設が、ウィグル自治区に作られた。 

  対外的には「職業技能訓練センター」だが実際は「強制労働収容所」である。

  収容されたウィグル人は、徹底的な洗脳で精神を破壊され強制労働を余儀なくされている

 

2019年12月「収容施設近くに工場建設し、欧米や日本の大手企業も関与している」

          と、欧米の複数メディアが報道している。

 

出産制限  宗教弾圧  差別
1979年~ 中国全土で人口抑制のための「計画出産」(一人っ子政策)を実施した。

2016年には緩和されたが、ウィグル地区では継続されて2017年以降の人口は激減

一家の家長を施設収容し、残った妻や娘には不妊手術を強制的に行っている実態 が判明している。 

 

10世紀~ イスラム教を信仰し始めたウィグル人は、2018年新 脱過激派 条例

により、イスラム式の服装や挨拶だけで「過激派」認定されて収容所に送られる。 

★しかし、現在では、公の場でも自宅でも宗教活動を一切辞めている。

★24,000のモスクのうち 64%が破壊され残りのモスクには、監視カメラが設置されている

★中国では、宗教団体が反政府勢力に変身することを怖れて、弾圧傾向があるが、比較的に平穏な

 ムスリムウィグル人に対しても「過激派」として、弾圧を正当化して来た。

 

 

読書記録の 途中となるけれど、

JNN北京支局カメラマンが、10年前と今の違いをレポートするTBS記事を見つけた。

 (北京大学留学中に知り合ったウィグル人友人アクバルの故郷を、2度訪ねている)

それを、ざっと引用させて頂くことにする。

他にも、詳細が書かれて有り、読めば10年前との違いが、何となく分かると思う。

 

     TBS NEWS DIG  「自分は中国人でウイグル族」 前編     

     TBS NEWS DIG  「自分は中国人でウイグル族」後編      

 

 
2013年撮影 ウルムチ ヒジャブ姿のウイグル族女性
2023年撮影 カシュガル 壊されたモスク

 

北京のビールバーで、流暢な中国語を話すウィグル人青年と仲良くなり、中国で暮らす少数民族の生き

辛さを知る。    2009年のウルムチ事件以降、中国政府のウイグル族締め付けが強まったと言う。

 ・ウイグル族はパスポートの取得が漢族より難しい。 

 ・新疆の街中にはウイグル族を監視する武装警察官がいる。

 ・学校では中国語の使用比率が高まり、ウイグル独自の文化が希薄になりつつある などを知る。

1年後の2013年、新疆に旅をした。カメラで街を写そうとすると警官に詰め寄られ削除させられた。

その後、友人と会い、その様子を話そうとした瞬間に耳元で「私服警官がどこにいるか分からない」

「政治的な話は止めてくれ」と、彼の顔は強張った。北京では見た事のない表情だった。

 

 

今年、10年ぶりに訪れた新疆で見たものは「中国化」と引き換えに発展する街並みと、沈黙を守る

人々だったが、私たちは取材を妨害されず、行きたい所に行き、撮りたいものを撮影できた。

10年前は、若者でも簡単な中国語しか通じなかったが、今回はタクシー運転手やお土産店の店員と、

中国語でスムーズに話せた。話せないと仕事に支障がでる為、ウィグルでは幼稚園から中国語を学ぶ。

 

街行くウイグル族の若者に「漢族とウイグル族の争いはもう無いの?」と聞くと「当たり前でしょう。

ウイグル族だって中華民族なんだから、みんな仲間です」と、中国語で淀みなく話した 。

ウイグル族の中国における立場はここ数年で変わってしまった? 煙に巻かれた様な気持ちになった。

 

2023年撮影 ウルムチの高層ビル群

 

モスクや中国語教育、再教育施設など政治性を帯びた話に及ぶと、途端に口が固くなるウイグル族。

彼らが政治的な話題を口にし、誰かにそれを聞かれる事と自身だけでなく、家族や親戚を危険に巻き込

むタブーなのだ、と取材中何度も思い知らされた。

物言えぬ中国社会の中で彼らはYesともNoとも言わず、いつも私たちに目で訴えかけてくる

「何も言えないけど、分かって下さい」と。 小学校を訪れると、教室からは生徒が中国語の文章を読み

上げる声が聞こえた。校庭でサッカーを楽しむ小学生に話を聞くと「学校では先生も生徒もウイグル語

を話してはいけない。そういう決まりがあるんだ」と話した。口をつぐむ大人たちに反して、子どもは

あっけらかんと、ウイグル族の置かれた状況を教えてくれた。

 

「再教育施設」とされる場所を10箇所以上訪れ、有刺鉄線や高い塀など異様な特徴をもつ建物を見る

ことができた。 近所の住人は「以前はそうだったが、既に施設は無い」とだけ話した。以前、施設に

両親が収容されていたと話すウイグル族の男性は「2年近く両親が収容され、中国語を学ばされた」

と打ち明けてくれたが、それ以上多くを語らなかった。

 

今回、新疆に行くにあたって、久々にアクバルに連絡をしてみたのだが、連絡はつかなかった。

彼がいまどこで何をしているのかはわからない。

 

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ウィグル文字の変遷と漢語教育の強要
ウィグル人は、古くからアルタイ語族に属する、独自の言語文字を持っていた
「古代ウィグル語」から時代を経て、「現代ウィグル語」へと至っている。
 
・初めて漢語(中国語)による教育を受けたのは、1884年の清朝時代

・「新中国」成立以後、中共は民族教育を認めつつ、段階的に漢語教育を推進した

 

・1970年代~ ウィグル伝統文字は、ローマ字のウィグル新文字 に改革された。

 ↓ 筆者が作成した「ウィグル新旧文字対照表」では、明白な違いが分かる。

 

 

・1977年~ 中国では「全国共通語」を北京語として、普通会話を普及させている

 ★文革期には、ウィグル人の民族教育と知識人も大きな被害をうけている

 

・1998年~ 新疆」などの少数民族地域で、「漢語能力試験」を導入。

 ★公務員、教員、学生別で合格ラインが設定され、合格を義務づけられた

 ★それにより、ウィグル人が、役所などでエリートとして登用される道が、険しくなっている

 
中共では、同化を目的とした政策を取り入れて行く。少数民族の総てで、学校の
 授業では北京語(漢語)だけとなり、民族言語は不可とされた。
 ウィグル語は選択科目 となり、「双語教育」を 受けざるを得なくなった。

 また、集団活動や公共の場でも、ウィグル語の使用を禁止された

 

中共ウィグル人への教育政策を纏めると、

 1950年代は 漢語が選択科目だったが、

 1970年代は 必須科目となり、 

 2000年代~ 双語教育漢語のみに変容してきた。

 

・2000年頃には既に、中国の多くの「少数民族」の言語が衰退し、絶滅危機だ。
 例えば今、満州語を分かる人は僅か100人ほどで、話せる人は50人しかいなくなった。
 
民衆意識は、文化により伝えられ言語民族のアイデンティティ中核とされる。
 
言語は、自集団他者との境界線目安 でも有る。
ウィグル人は「中華民族意識を植え付けられて、漢族との境界線を不明にし 
 漢民族同化させられている。  
 
 つまり、
漢民族による他民族の心を変質させる暴挙に他ならない
 
 
 

 

つづく。