『眠られぬ夜のために①』六月二十五日: | 真田清秋のブログ

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 『大きな危機が過ぎた後、しばしば人間の考えの中に、ある全く囚われない、ほとんど普通の人間的なものを超えた評価をもって、自分の生活を過去と未来にわたって見渡すような瞬間が訪れるようなことがある。このような場合、自分の過去を顧みて、危うく邪路に陥ろうとしてほとんど奇跡的ともいうべき神の処置と保護とによってわずかにそれを逃れ得た、限りなく多くの時機があったことに気づくならば、このすでに与えられ恩寵に対する感謝のために胸は膨らみ、なお将来の人生行路も祝福に満ちているであろうという強い確信が高まってくる。全生涯の終わりにも、おそらくこれと同じ感慨を覚えるに違いない。

 

 ペアトリチェは言った、「あなたは

 眼(まなこ)を明るく、するどくせねばならぬほど、

 もはや最後の救いに近づいているのです。

 そこで、救いの国に踏み入れる前に下界を見て、

 私がどんなに多くの世界をお導きしたかをご覧なさい。

 それは、この円形の大気のなかを

 楽しげにやってくる勝利の群れと会った時、

 あなたの心が喜びに溢れるためです。」

        (ダンテ『神曲』天国篇第二二歌一二四行以上)』

 

                 清秋記: