『眠られぬ夜のために①』五月二十六日: スイスの哲人、カール・ヒルティ著 『われわれが心に悲しみを覚える時は、いつも「自我」がその責めを分っている。 自我を棄てれば、つねにそれだけ精神の力を高めるのである。 人は原則として、助けることのできるお力に訴えねばならない。人間に向かって訴えるべきではない。人間はしばしば他人を助けることができないし、またそれを欲しないことが多い。しかも、ほとんど常に、人を助けることに多少とも恐れか、嫌悪を覚えるものである。』 清秋記: