カール・ヒルティ、「幸福論①」124頁より: | 真田清秋のブログ

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 『第一節について。ーー本当の意味の理想主義は、明らかに、我々の現実からすっかり遠ざかって、自分の夢想の世界にとどまることで現実を誤魔化したり、あるいはわざと現実を無視したりすることにあるのではなく、むしろ普通に行われているよりも、一層深く世界を把握し、そしてこれを自分自身の内部において克服する点にあるのである。というのは、我々自身がすでに一個の小宇宙であって、確固たる原理と良い習慣とでもって、まず最初にこの小宇宙を克服しない限り、およそ世界を克服することは不可能だからである⭐️。

 ⭐️ 人生は、安楽に暮らすことにあると考えるのと、正しい行いをするためにあると考えるのと、この違いがまず第一に、人々の間にある大きな相違である。この考え方の違いは、人生の全精神を左右するものだ。正しい行いをしょうと決心した人は、次に、正しい行いをすることのできる道を見出して、最後に、正しい行いの習慣に到達しなければならない。この良い習慣こそは最も大切である。人生を安楽に暮らそうとする者にとっては、哲学も宗教も道徳も、どんなものも彼を本当の生活に導き入れることはできない。それらのものはみな彼等にとって、なんの感銘をも与えない。ところが、このような人たちは、今日も決して少なくない。ことに政治的党派や、教会的党派の中に多い。それはともかくとして、グリンガーのような経験に富んだ人でさえ、「どうしたら出来るか」と言っていることを注意しておきたい。つまり、それは決して容易ではないのである。』

 

                  清秋記: