『出たがり社長』のままでは限界がある | 「売れる仕組みづくり」を伝えるコンサルタントのブログ

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[要旨]

経営コンサルタントの板坂裕治郎さんによれば、開業当初は、社長のキャラクターで集客ができ、それで事業が成功したと感じることがあります。しかし、社長の体は1つしかないため、体制を変えないまま事業を拡大してしまうと、開業当初の強みを活かすことができず、躓いてしまいかねないので、注意が必要です。


[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの板坂裕治郎さんのご著書、「2000人の崖っぷち経営者を再生させた社長の鬼原則」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、板坂さんによれば、経営者が自分の「熱い想い=理念」を「見える化」すると、人の輪ができ、その関係性の中で経営者自身の「覚悟」が決まっていき、そのことが自分を「変化」させることができるということについて書きました。

これに続いて、板坂さんは、かつての自分のご経験から、社長のキャラクターに依存する事業活動には限界があるということについて述べておられます。「これは、今、中小零細弱小家業の社長さんたちと話をしていてよくわかる。小人数で開業できる、美容・理容業界、エステ業界などは特にそうだが、本当に器用な人たちが多い。社長でありながら接客もできれば、カウンセリングもでき、施術もこなせる。お客さんは社長目当て。予約の電話で、『今日、社長さんは、いらっしゃいますか?』と言うお客さんに、スタッフが、『申し訳ございません、本日出張に出かけていまして……』と言おうものなら、『じゃ、いいです、またにします!』と切られてしまう。

会社組織にはしているが、社長のキャラクターだけで持っている会社ということになる。そして、そのキャラクターのパワーを1か所で発揮しているうちはまだやっていけるが、店舗を増やし分散すると、力は弱くなる。私みたいに、昼は洋服屋、夜は飲み屋をやり、社長のキャラクターで集客していると、いずれ限界がやってくるのだ。昼も、夜も、お客さんから引っ張りダコ。それは社長として人気があってよさそうに見えるが、組織としてはいちばんダメな形。

出たがり社長の典型ということになる。中小零細弱小家業の場合、どうしても社長が会社の顔になる。お客さんもまずは社長のファンというところが入り口となって、拡がっていく。しかし、1日は24時間しかない。社長がいくら熱意を持っていても、体は1つ。仕事に費やせる時間は限られている」(110ページ)

私は、社長のキャラクターで持っている会社が、必ずしも間違っているとは考えていませんし、そういう会社は、現実にたくさん存在します。もちろん、そういった会社には、長所と短所がありますが、小さい規模を維持するという前提で、黒字を続けている限りは、問題はないと思います。しかし、私が問題と感じるのは、社長のキャラクターで持っている会社が、その仕組みを変えずに、事業拡大ができると考えてしまうことです。

社長のキャラクターで持っている会社は、実質的には個人商店、または、フリーランスと同じであり、そのような組織が事業を拡大させていくと、当然、うまくいくことはありません。ところが、社長のキャラクターで、小規模な事業で成功したにもかかわらず、そのまま事業を拡大しても成功すると勘違いしてしまうと、かつて、板坂さんがご経験したようなことになってしまうので、注意が必要です。


2024/5/23 No.2717