「売れる仕組みづくり」を伝えるコンサルタントのブログ

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「売るだけの経営者」から「売れる仕組みを創り出す経営者」へパワーアップしたい経営者を応援するブログ

[要旨]

枚岡合金工具でゴミゼロ化を始めてから、従業員の方たちは、自ら問題点を発見し、改善しようとする考え方が定着しました。このことが、同社に「優秀な人材」が増えることとなり、業績が回復しました。社長個人の限界が組織の限界では、会社の発展は望めない時代にあっては、このような能力を高めるための活動が重要です。


[本文]

今回も、枚岡合金工具社長の古芝さんのご著書、「儲けとツキを呼ぶ『ゴミゼロ化』工場の秘密」を読んで気づいたことについて述べたいと思います。古芝さんは、同書に、「ゴミゼロ化」を実践したことの、副次的効果について書いておられます。「中小企業が抱える『人材不足』という問題は、単に入手が不足しているというではありません。優秀な人材が不足しているという側面もあり、すなわち、人間の不足ではなく、能力やスキルの不足ですが、これも『ゴミゼロ化』の取り組みで解消されるようです。

ここでいう『優秀な人材』とは、与えられた業務を遂行する能力だけでなく、変化を恐れず、自ら改革する能力を備えていることです。経営環境は、刻一刻と変化していますが、この変化に対応できなくては、会社が沈没してしまうのです。無論、変化を読み取り、会社が沈没することがないよう、舵取りを行うのは社長の仕事ですが、1人の能力には自ずと限界があります。個人の限界が組織の限界では、発展は望めません。わが社の社員は金型づくり、つまり、与えられた業務を遂行する能力については優秀でしたが、変化を恐れず、自ら改革する能力が欠けていました。

職人気質で、どちらかといえば、変化を受け入れない体質があり、その結果が、バブル崩壊後の経営不振なのです。でもいまはかつてとは違い、社員の中に、自らが問題点を発見し、改善しようという考え方が定着しました。『ゴミゼロ化』の取り組みでは、『まず、やってみること』から始まります。すると、次々とやるべきことが見えてきて、結果的に、大きな改善につながるのです」(179ページ)現在の経営環境では、製品を製造する会社が品質の高い製品がつくれることは当たり前の時代なので、指示された製品を製造できるだけでは、競争力が相対的に高いとは言えません。

そこで、製品を製造する際に、その作業をしている従業員の方が、どれだけの気づきを得て、それらがどれくらい製品の改良につながるのかが、競争力の差となっていきます。そこで、枚岡合金工具では「ゴミゼロ化」によって、古芝さんのいう「能力やスキルの不足」を解消していくことが大切になるのでしょう。ちなみに、私は、「能力やスキルの不足」は、ゴミゼロ化だけでなく、QCサークル活動、5S活動、ISO9001の導入などでも涵養できると考えています。

本題からそれますが、ISO9001は、認証そのものが目的化している会社も少なくないようですが、認証だけを目的としている会社では、従業員の方から見ると、単に、面倒な作業が増えるだけで、業績も上がらず、従業員の士気も上がらないので、ISO9001の維持費用が無駄に感じることとなるでしょう。でも、ISO9001を本当に活用して自社の事業を改善しようとすれば、私は、その維持費用以上の業績向上の成果が得られると考えています。

話をもどして、従業員の方の「能力やスキルの不足」を解消するための活動は、経営者の方から見て、時間と労力がかかる、たいへんな活動に感じられると思います。ただ、現在は、古芝さんも述べておられるように、「個人の限界が組織の限界では、会社の発展は望めない」、すなわち、組織力の差が業績の差になっている時代です。したがって、ゴミゼロ化のような、従業員の方の能力を高める活動を避けることはできなくなっていると、私は考えています。


2022/8/11 No.2066




[要旨]

枚岡合金工具でゴミゼロ化を始めてから2年目に、社長の古芝さんは、反対派従業員の方から不満を向けられました。しかし、古芝さんは、反対派の存在は避けることができないので、2割の賛成派と6割の中間派に改善活動の継続を働きかけることで、5年後に事業を黒字化することに成功しました。


[本文]

今回も、枚岡合金工具社長の古芝さんのご著書、「儲けとツキを呼ぶ『ゴミゼロ化』工場の秘密」を読んで気づいたことについて述べたいと思います。古芝さんが会社の「ゴミゼロ化」を始めてから2年目に、反対派の従業員の方から、「ゴミゼロ化をするくらいならば、本来の仕事に労力を割くべきで、結局、社長たちが社外で良い格好をしたいためにやっているだけだ」と不満を言われたことがありました。この出来事の後、古芝さんは、262の法則に基づいて、従業員の方たちに接するようにしたそうです。

「私は抵抗する人の出現を、『262の法則』で理解しました。何かに取り組むとき、2割の人は推進派となり、6割はそれに引っ張られる中間派となり、残りの2割が反対派になる、これが262の法則です。(中略)わが社において、ゴミゼロ化の推進派は、私と弟の古芝義己で、それ以外の6割の社員が、『社長と常務がいうから、やろう』とついてきてくれている中間派、そして、慰労会で異を唱えた彼が反対派です。(中略)多くの経営者は、反対派の2割にエネルギーを注いでしまいます。

そうなると、ついて来てくれた中間派への影響力が強まり、力が拮抗して引き合いになってしまうのです。しかし、反対派を気にせず、推進派と中間派の8割に力を注ぐと、全体がそちらに引っ張られていきます。経営者としては、1人でも多くの味方をつくることに力を注ぐべきであり、そうすることで、反対派をも巻き込んでいくことができます」(143ページ)結果として枚岡合金工具は黒字化するのですが、反対派従業員から反対意見が出た時点では、古芝さんも、ゴミゼロ化の効果を客観的に示すことができないでいました。

そのような状況では、古芝さんは、つらい立場にあったと思いますが、反対派の存在を避けることはできない、そうであれば賛成派と中間派に継続を働きかけようと考えること、すなわち262の法則の考え方に基づいて、ゴミゼロ化を継続することができたのだと思います。そして、枚岡合金工具では、ゴミゼロ化という方法で事業の改善をしたわけですが、事業の改善の方法は、ゴミゼロ化だけとは限りません。

ほかにもさまざまな事業の改善の方法があります。そして、そういう改善活動を実行することで、従来の仕事のやり方を変えるときは、どうしても反対派が存在します。そういった面では、事業の改善は、反対派との戦いともいえます。また、反対派は、従業員だけでなく、経営者の心の中にも存在するでしょう。経営者の心の2割の部分では、改善活動が成功すると思いつつ、6割は懐疑的であり、2割は失敗するかもしれないと感じていることもあるかもしれません。

だから、経営者の方がちょっと不安になると、改善活動の継続に対して弱気になり、活動を諦めてすしまうことになりかねません。したがって、改善活動は、効果が得られるものであるかどうかの前に、経営者の方が継続できるだけの強い心を持っているかどうかという要素が大きいと思います。そこで、改善活動を実践するには、経営者の方の意思の強さが重要だと、私は改めて感じました。


2022/8/10 No.2065