「売れる仕組みづくり」を伝えるコンサルタントのブログ

「売れる仕組みづくり」を伝えるコンサルタントのブログ

「売るだけの経営者」から「売れる仕組みを創り出す経営者」へパワーアップしたい経営者を応援するブログ

[要旨]

北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんによれば、同社では、管理職7~8人によるコスト削減委員会を設け、聖域のないコスト削減策を検討しているそうです。これによって、直接的に、コスト削減が行われるようになっただけでなく、日常の事業活動においても、コストを意識した判断が行われるようになったという副次的な効果も得られたそうです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんのご著書、「売上最小化、利益最大化の法則-利益率29%経営の秘密」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、木下さんによれば、黎明期の同社では、朝礼のときに、部下の方たちが、自分には直接関係のないことは木下さんの話を聞いていなかったことから、朝礼で、全員が、24時間以内に起きたよいこと、新しい発見を話しをしてもらうようにしたところ、従業員同士のつながりが強くなり、自分以外のことにも興味を示すようになったということについて説明しました。

これに続いて、木下さんは、同社ではコスト削減委員会をつくって、コスト削減について議論しているということについて述べておられます。「社内で応接室の花について議論したこともある。花には月1万円のリース代を支払っている。『なぜ花を置いているのだろうか』、『花があると心地いいからだろう』、『誰の心地よさがどのように会社のメリットとつながっているのだろうか』などと考える。すると、『採用面接で応接室を使うので、内定を出したときの受諾率が上がるかもしれない』といった仮説が出てきた。

『何%くらい上がると思う?』『仮に1%上がるとすると、年間採用経費はいくらだ?』『年間採用経費は1,000万円、内定受諾率が1%上昇すれば、10万円分、効率化される』『この花は年間10万円の価値を提供しているけれど、コストは月1万円だから年間12万円、ということは、2万円の赤字だ』『では、他にこの花が役立っていることはないか』と深掘りする。答えが完全にわかることはなくでも、一つひとつ仮説を立て、投資効果を検証する癖をつける。何も考えず、なんとなくやり続けるのが一番いけない。(中略)

コスト削減キャンペーンを経験すると、社員のコスト意識が高くなる。無駄な発注が極端に減る。決裁者は、新しくコストをかける禀議申請が回ってきたとき、『これに経費を使ったら、今年のコスト削減キャンペーンの議題に上がるのではなか』いとすぐ頭に浮かぶようになる。同時に、毎年様々なコスト削減手法を経験しているので、『この施策は、こうすることで経費をかけずにできないか』、『この施策とこの施策を同時に行うことで、半分のコストでできないか』、『この施策の費用対効果はどう考えているのか』など、稟議のたびに、コスト削減キャンペーンレベルで判断できるようになる。

一度、コスト削減キャンペーンに本気で関わった管理職は、適切な決裁をするようになる。その姿勢により、全部署にコスト意識が伝わっていく。このようにして徹底して無駄金を使わない組織ができるのだ。この話を友人の経営者との情報交換や講演などでよく話す。そして多くの経営者が自社で実施したことで絶大な効果があったことを報告してくれる。この『コスト削減キャンペー』は、ぜひ今すぐやってほしい」(290ページ)

私は、北の達人コーポレーションのコスト削減委員会は、テーマがコスト削減に固定されているものの、いわゆるQCサークル(小集団活動)と同じものではないかと思っています。QCサークルのQCとは、品質管理(Quality Control)のことで、元々は品質管理のための小集団活動です。

もちろん、QCサークルは、製品、サービスの品質を高めるための活動をすることが本来の目的ですが、その特徴は、直接、現場にいる人たちが自らテーマを選択したり改善方法を考えたりします。さらに、自らそれを実践し、その改善の効果を実感することで、現場の従業員の方が改善意欲を高めたり、仕事のスキルを高めたりするという副次的な効果が得られる活動です。

これについては、否定的な経営者の方もいるようですが、否定的な意見の根拠は、QCサークルの活動は、直接的に収益に結びついていないというものです。さらに、QCサークルを行う時間があるのであれば、それを生産活動や営業活動に振り向けることの方が、会社にとって利益をもたらすというものです。この考え方は、定型的な業務が多い事業においては当てはまると思います。

しかし、現在は、定型的な業務は、情報技術の進展によって、減少しつつあります。そして、ライバルと差を広げるには、複雑な経営環境に合わせて、どれくらいそれに適応できる組織活動ができるかということであり、そのためにはより高度な対応ができる人材育成が欠かせません。だからこそ、QCサークルによって、従業員の方に経営者目線に近い視点を持てるようにする働きかけを行うことが求められていると、私は考えています。

そして、木下さんの会社でも、幹部従業員の方のコスト意識が高まり、普段の事業活動においてコストを意識して判断が行われるようになっているようです。したがって、自社の従業員の方の意識を高めたいと考えている経営者の方は、木下さんがお薦めしておられるように、コスト削減委員会を設けたり、または、一般的なQCサークルを導入することをお薦めします。


2026/5/1 No.3425







[要旨]

北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんによれば、黎明期の同社では、朝礼のときに、部下の方たちが、自分には直接関係のないことは木下さんの話を聞いていなかったことから、朝礼で、全員が、24時間以内に起きたよいこと、新しい発見を話しをしてもらうようにしたところ、従業員同士のつながりが強くなり、自分以外のことにも興味を示すようになったということです。


[本文]

今回も、前回に引き続き、北の達人コーポレーションの社長の木下勝寿さんのご著書、「売上最小化、利益最大化の法則-利益率29%経営の秘密」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、木下さんは、カスタマー業務担当者の中には、電話対応はうまいが、メールは苦手という社員がいる一方で、わかりやすいメールは書けるのに、いつも電話では緊張してしまい、予期せぬ質問をされると、しどろもどろになる人もいたことから、「しゃベらない接客業」というコピーで求人を行ったところ、予想を超える応募があり、優秀な人を採用することができたということでについて説明しました。

これに続いて、木下さんは、朝礼で「GOOD&NEW」を実践すると、会社内のコミュニケーションが活発になると言うことについて述べておられます。「創業間もない頃、朝礼に『GOOD&NEW』と『クレド』を導入することにした。当時は私とアルバイト3人の計4人だった。『GOOD&NEW』は24時間以内に起きた『よかったこと(GOOD)』や『新しい発見(NEW)』を1人1分ずつ話して全員で共有し、拍手をする取り組みだ。組織やチームの活性化、アイスプレイクなどを目的に、アメリカの教育学者ビーター・クライン氏によって開発された。

導入には理由があった。毎朝4人で打合せをしていたが、私とAさん、私とBさん、私とCさんという『社長と各アルバイト』の1対1の関係になってしまうので、個人的に直接指示された業務はきちんとやるが、全体への指示には関心が薄く、自分以外の人への指示は聞いていないという問題があった。たとえば、『今日はこんな注文が入るから気をつけてね』と言っても、『聞いていなかった』と言い出す。『いや、あなたの目の前で言いましたよ、Aさんは聞いていましたよね』、『はい、聞いています』、『自分には関係ないと思ったので、聞いていませんでした』こんな光景が日常茶飯事だったのだ。

『GOOD&NEW』の手順は次のとおりだ。(1)3~5人のグループに分かれる。(2)ボールなど手に持てるアイテムを誰か1人が持つ。(3)ボールを持っている人が話す。(4)話し終わったら話し手以外が拍手する。(5)話していない人にボールを手渡す。(6)全員が話すまで繰り返す。(7)最後の人が『今日もよろしくお願いします!』と言って終了する。

『GOOD&NEW』をやり始めると、3日くらいで社内の雰囲気が変わった。それまで同僚に対する興味がみんな薄かったが、『GOOD&NEW』で情報共有すると、互いを仲間として認識し始めた。今までは私から指示されたことだけをやっていたが、アルバイト同士で会話をするようになった。

『Aさん、この商品はどうなっていた?』、『それは昼に納品されるよ』と質問や確認ができるようになり、ガラッと雰囲気が変わった。私は、スタッフがコミュニケーションを図る仕掛けは、会社が準備すベきことだと気づいた。『GOOD&NEW』には『何事もなかった日でも物事のよい面を見つける癖をつける』という目的もある。当社の場合、24時間以内に起きた面白かったことを共有するネタ合戦のようになっていたが、スタッフ間のながりも強くなった。

現在でも、朝礼の時間に全社員が6、7人のチームに分かれて『GOOD&NEW』を行っている。朝礼のときにタイマーを使い、1人1分ずつ話し、みんなで拍手する。最近では、多くの職場で人の動きが流動的だ。あまり知らない人、初めて出会った人と即席のチームをつくって働くこともある。そのような場合でも、『GOOD&NEW』をやってみると、コュニケーションが取りやすくなる」(281ページ)

人は社会的な要因で動きが左右されるということは、誰でも理解されると思います。このことは、約100年前に行われたホーソン実験で広く知られています。ホーソン実験とは、1927~1932年にかけて、米国のシカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた実験です。実験の内容は、端的に述べれば、賃金、休憩、室内温度などの条件によって生産性がどのように変わるのかを調べようとしたものの、結果として、それらは生産性とあまり関係がなかったということがわかったというものです。

むしろ、データ収集を目的に、職場の監督者が、従業員たちと自由な会話を行ったことで、監督者と部下の相互理解が深まり、生産性が改善したということがわかりました。すなわち、生産性は、賃金や温度などの物理的な要因ではなく、人間関係などの社会的な要因が大きく関わっているということが、すでに、90年以上前に分かっていたということです。木下さんの会社の場合、GOOD&NEWによって、従業員同士の相互理解を深めることに成功したわけです。

そこで、木下さんは、「スタッフがコミュニケーションを図る仕掛けは、会社が準備すベきことだと気づいた」と述べておられるのだと思います。ところが、経営者によっては、このようなことは無意味であり、部下たちはちゃんと上司の指示をきいて、その通りに動けばよいとしか考えない方もいるようです。でも、人は有機的な存在であり、感情で動く面があります。

むしろ、感情で動くからこそ、士気が高まれば、自律的で能動的な活動ができるようになります。それは、前述のホーソン実験で証明されています。したがって、まだGOOD&NEWを実践していないという会社の経営者の方は、木下さんに倣って採り入れることをお薦めします。


2026/4/30 No.3424